内容説明
1964年「北海タイムス」に連載された道産子兵士たちの生々しい証言を復刊!時代を超えて“戦争とは何か”を問い続ける―。
目次
「あゝ沖縄」とその時代―北海道民と沖縄戦(北村/毅)
あゝ沖縄―戦没一万八十五柱の霊にささぐ
沖縄戦を末永く後世に伝えていく(黒田/練介)
遺骨収集に取り組んで(みらいを紡ぐボランティア)
“「あゝ沖縄」プロジェクト”に参加して(正木/一樹)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
二人娘の父
9
本書にはいろいろな「発見」がある。「北海タイムス」という夕刊紙(!)が存在したこと。沖縄戦に送り込まれた道民が多数おり死者だけで1万人を超えること。戦後約20年後にその記録を連載するという仕事に取り組んだ記者がいたこと...etc 連載された手記・記録はこれまで読んだ戦史のなかでも、その具体性において際立っている。それだけに読み進めるには、読む側のある程度の決意というか、構えが必要だ。先日観たNHKの北海道スペシャル「北海道兵、10805人の死」(ぜひ全国放送してほしい)鑑賞をしたことも読了の支えになる。2024/07/03
水
1
沖縄戦で亡くなった人の中で2番に多かったのが北海道出身者だなんて知らなかった。生まれ故郷と気候も文化もかなり違う地で、兵士たちが惨い戦争に直面し、「ねずみ」のように死んで行く悲惨さは、読んでいるこちらも読み進めるうちに一人々の死を悼む気持ちをいつからか忘れてしまっていることに気付きゾッとする。最後の正木さんのコメント「人は他人の傷をわからないから、戦争体験を時代のランプにしてお互いの傷を見つけて欲しい」に心惹かれた。色んな人の手に触れて心が込められた本は現代において特に貴重。久しぶりに素敵な本に出会えた。2024/03/05