内容説明
速度と効率最優先の資本主義とデザインが、自然と環境を廃墟へと導く。運動/静止、強さ/弱さ、表層/深層と、見失われた微妙な空間に潜む“陰影”の豊かなダイナミズムを、デザインは捕捉・蘇生し、新たな社会を構築できるか―。
目次
弱さを聴く
表面積の哲学
擦過傷
半諧調を知る
影の運動
明るい街
消える形
触れる
Nowhere
宗達から光琳へ
山水の時間
諧調論
眼の震え
著者等紹介
戸田ツトム[トダツトム]
1951年東京生まれ。グラフィックデザイナー。エディトリアルデザインを中心に活動し、現代思想書をはじめとする造本装幀多数。1989年『森の書物』の刊行によりDTPの可能性をいち早く国内外に示した。そのほか、ハイビジョン映像やデジタルコンテンツの制作、新聞・雑誌のアートディレクションなども多く手掛ける。神戸芸術工科大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gorgeanalogue
3
唯一無比のデザイン=環境論。最初のうちは、断片的でどこにも落着しないようかにも思えるが、次第に引き込まれ、「環境の多様性」などという言葉に回収され尽くせない、経験を構成する「運動がもたらす微振動」へ開かれていく。中谷礼仁『セヴェラルネス』に似た読後感。最後の点描と網点をめぐる考察も素晴らしい。RIP.2020/11/01
hobby no book
1
断片的でどうも取り留めなく感じてしまった。あまり関心のある切り口がなかったのもあるかもしれない。2017/06/07
あさひ
1
タイトルから「谷崎潤一郎的な何か」を感じて買いました。編集段階でものすごく縮めたということも関係してると思うんですが、いい意味で断片的というか、思考のかけらをちりばめたような雰囲気がありました。2012/04/25
Lian
1
霊感溢れる名著。2012/02/20
n_kurita
0
日本画から西洋画、またはデジタル製品や都市のデザインについて語ったかと思えば植物について語ったりと、まぁ幅が広く造詣が深いのだと感じる。しかし随所に挟まれるポエミーな語り口が性に合わなかった。2013/07/13