出版社内容情報
『橋はなぜ落ちたのか』よりは一般的。「失敗学」の要素を多分に含みつつ「文化史的側面」を前面に打ち出している。
内容説明
失敗とは、「期待された性能と実現された性能とのあいだの受け入れえない差」である。薬のビンのデザインから高層ビルの設計まで、さまざまな事例にそくし、失敗からいかに学ぶかを検証する。
目次
1 プラトンの岩屋からパワーポイントまで
2 デザインの成功と失敗
3 手に触れえないもの
4 小さいものと大きいもの
5 成功の上に成功を
6 跳び石から超長橋へ
7 歴史としての未来
著者等紹介
ペトロスキ,ヘンリ[ペトロスキ,ヘンリ][Petroski,Henry]
1942年生まれ。1968年イリノイ大学で博士号。同大学やテキサス大学で教えた後、現在、デューク大学土木環境工学・建築土木史教授。米国機械学会や米国土木学会から表彰を受けたほか、新聞や雑誌に数多く寄稿し、テレビにも出演している
北村美都穂[キタムラミズホ]
1928年京都生まれ。東京工業大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KakeruA
1
パパネックは、全ての人間はデザイナーであると記したように、本書では、選択と決定を行う全ての動作がデザインであると冒頭に触れている。成功だけでなく失敗体験もまたデザインの革新と改善に寄与しているということであり、慢心せずに失敗から学ぶことの重要性を説く。失敗はネガティブな廃棄を意味するのでなく、次への指標となる。そこで、日常品をブリコラージュし構築しているプロコンシューマーの実践を見つめるデザインリサーチは、失敗学的な試みであるだろう。2014/04/06
鳩
0
同著者による書籍「フォークの歯はなぜ四本になったか」と同様、エンジニアリングの進歩とは、道具や装置に対する不満を種とした漸進的な過程だという主張がなされる。主たるメッセージはシンプルであり、本書のメインは「フォークの……」と同じく事例紹介であろう。フォークやジッパーなどの日用品を取り上げていた「フォークの……」に対し、今作では著者の専門である土木工学の分野から、橋や高層ビルにおける失敗と改善の歴史が豊富に紹介される。2018/11/30