内容説明
天才と狂気の狭間で、世紀末から30年代にかけて、激動の時代にその天分を完全に燃焼させた異形の画家・霊媒師・精神分析学者・ダンサー・詐欺師など、近代社会の病理を体現するパラノイアックな思考と心象に深く分け入り、その潰え去った夢と奇妙な情熱を解読する。西政畸人伝。
目次
影の女―C.G.ユングの霊媒
新ハムレット―S.フロイトの約束の地
獣体と機械と―ニジンスキーの神隠し
聖アドルフ二世の王国建設―アドルフ・ヴェルフリの20年代
愚者の祝祭―F・Sch・ゾンネンシュターンの方へ
ある女霊媒の想像妊娠―エンマ・クンツの処女受胎機械
梅毒としての文学―オスカル・パニッツァについて
詐欺としての文学―カール・マイの不思議な冒険
私の自転車修業―P.シェーアバルトと永久機関
愚者の機械学―ローベルト・マイヤーの永久機関