内容説明
弱さを強さへ裏返す!読売新聞の人気連載「人生案内」から名問答を厳選。回答を裏打ちする人生作法を「二枚腰のすすめ」として新たに書き下ろし。さらに付録として、自身の二枚腰の人生を描いた、写真満載の自筆年譜と、全著書リストを収載。
目次
1 恋愛未満
2 からっぽ
3 もやもや
4 加減がわからない
5 踏ん切りがつかない
6 ソリがあわない
7 のしかかるものが重い
8 納得できない
9 負のスパイラル
10 二枚腰のすすめ
著者等紹介
鷲田清一[ワシダキヨカズ]
1949年京都生まれ。大学に入り、哲学の“二重性”や“両義性”に引き込まれ、哲学の道へ。医療や介護、教育の現場に哲学の思考をつなぐ「臨床哲学」を提唱・探求する、二枚腰で考える哲学者。2007~2011年大阪大学総長。2015~2019年京都市立芸術大学理事長・学長を歴任。せんだいメディアテーク館長、サントリー文化財団副理事長。朝日新聞「折々のことば」執筆者。おもな著書に、『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『「聴く」ことの力』(ちくま学芸文庫、柔原武夫学芸賞)、『「ぐずぐず」の理由』(角川選書、読売文学賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Willie the Wildcat
77
物事が併せ持つ表裏2つの側面を意識することで、心を勇気づけるのが、表題『二枚腰』と理解。読売新聞紙上の身の上相談故に、身近な話題も多々。必ずしも哲学者ぽくない”助言”に溢れる人柄が、長期掲載の理由と推察。全ての相談・回答に、必ずしも腹落ちする訳ではないが、思わず良い表現と感じたのが、「ソリが合わない」の”夫婦・綻び”と「納得できない」の”自立”。支えあい、感謝。日々精進あるのみですね。2020/07/03
けんとまん1007
58
敬愛する鷲田先生の人生相談集。なかなかの切れ味でありながら、やあり、温かさを感じるのは、鷲田先生の立ち位置・視線からくるものだろう。二枚腰、見方はいろいろあるし、一つの答えの次にも、考え方はあるのだと思うだけで、随分違ってくるだろう。寄り添うではなくて、寄りあう・・・この一文が、とても気持ちを楽にしてくれる。2021/04/05
しゃが
51
!鷲田さんの新聞連載「人生案内」。弱さを強さへ裏返す人生作法イコール「「二枚腰のすすめ」。印象的だった回答は『自立している、つまり大人であるというのは、自分に自信をもってるということでもありません。自立というのは、自分の今がどれほど多くの人に支えられているかを熟知しているということです』。『ひとがだれかとほんとうにじっくり対話できるのは、本を読むときです。本を書いた人は未知の人です。だから距離が取とれ、相手の言葉をすなおに受けとることができる。その言葉を吟味もできる。』2020/10/30
抹茶モナカ
32
新聞紙面で展開された人生相談の単行本化。最後に、「二枚腰のすすめ」というエッセイ。行き詰まりや苦悩というのが、基本的に世の中の不条理に直面した時に感じるものだというのがよくわかり、丁度、苦悩の中にあり、この感覚は不条理に直面した感じではあるな、と思った。同時に、自分にも責任はあったかも、と本を読んでいて思えた。著者が引き合いに出していた「えんとこ」の遠藤さんのことはETV特集で観た事があるが、確かに壮絶な人だし、その自分の弱さの反転の仕方を思うと、自分は甘いのだな、とも思った。2020/08/18
もえたく
22
大正3年から続く読売新聞の人気連載「人生案内」で約6年間回答役を務めた哲学者鷲田清一さんの厳選された問答集。恋愛、仕事、家族などの万人の悩みに、直ぐに効く解決策ではないが、こう考えたらどうかといった一味異なる視点から回答されていて、頷くことしきり。「自分の悩みは放っておいて他人の悩みを細かく聞くように意識を反転。悩みを吐き出すのではなく、吸い込む。そのことで少しは自分の悩みをワンオブゼムとして相対化できました」2021/07/09