内容説明
幸運―ジャック・ランドールは、とっくに使い果たし、彼のそれをしまっておいた箱は空っぽだ。残虐な戦争の数少ない生き残りである彼は、この5年間を地下に潜って、スペアたちを飼育する農場に隠れて暮らしていた。幸運‐luck‐という単語さえ綴ることのできない者たちを管理して。しかし、ついに彼はスペアたちを連れて、かつて住んでいた街へと戻ってきた。守ってやるべき者たちとともに、どこかへ姿を消すために。だが、彼にはトラブルを呼び寄せる才能が備わっていた…。心を決めるしかなかった。復讐か、逃走か?S・スピルバーグのドリームワークスが映画化権を獲得した、人類の壮絶な行く末を予感させるノワール・スリラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Dai(ダイ)
20
あまりにも、予想と大きく違った内容に最後まで馴染めなかった。特にドラッグや幻覚が出てくると話がややこしくて好きになれない。スピルバーグが映画化権を持っているので、映画化されたなら、かなり面白い作品になるだろう。2013/10/07
sabosashi
11
この作品も読むのにひどく時間がかかった。ディストピア風のタッチ、読んでいて重苦しさが伝わってくる。しかし時々、稲妻のように詩的フレーズが舞い込んできてハッとする。するとこの作品の裏には何があるのだろうと勘ぐってしまう。そんなことを考えていると。はたして読み終わるときがくるのだろうかと案じてしまう。つまり作品のなかで翻弄されているのを嗜好するようになってしまう。はたしてこれが読書だろうか(笑)。しかしそれでも最後まで読んでくるとイシグロの「わたしを離さないで」と似通ったテーマが扱われていることに気づく。2023/05/16
けいちゃっぷ
7
期待しませんでしたが拾い物でした。この人の短編集(『みんな行ってしまう』)はぱっとしなかったが(全部忘れている)、長編はどんなもんかと。ラストはまともか。ギャップの世界に登場人物も読者も叩き込んでくれればよかったのにね。主人公の内省が多すぎるが、でもまあ及第点か。437ページ2010/06/04
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
2
☆×3.5…なーんか読んだことあると思ったらすでにこの人の作品を読んでました(オンリー・フォワード)ノンストップSFアクションですね。とにかく読み進めてけ!という文章です。最後のほうにさまざま真実が出てきて驚かされるばかりです。それとなんかこの作品は近い将来ありそうな気がします。そう、「スペア」の部分なんかは特にそう。でもあったらあったで恐ろしいと思います。2010/09/24
hirayama46
2
つくづく変な話だなあ……。なんであのタイミングでドラッグをキメるのだろうか。それでも、妙な整合性というか、不思議に納得してしまうような、しないような……。奇妙に面白い小説でした。2010/04/13