内容説明
地理学的方法を駆使して行った国際的比較研究で得た知見に基づいて、著者はこう政策提言する、「日本の少子化克服の鍵は、保育と女性就業が両立し得る地域社会システムの構築にある」と。
目次
第1章 福祉国家レジームと保育
第2章 スウェーデンの家族政策と人口学的研究の成果
第3章 スウェーデンにおける子育て支援と保育園の立地
第4章 ドイツ、イタリア、オランダの家族政策
第5章 アメリカ大都市圏における保育園の立地
第6章 アメリカのボランタリー組織による保育と放課後プログラム
第7章 日本における保育サービスの自治体格差
第8章 日本の大都市圏における出生率の地域差
終章 保育と福祉国家―地理学的視点からの政策提言
著者等紹介
田中恭子[タナカキョウコ]
昭和60年3月お茶の水女子大学人間文化研究科(博士課程)退学。平成4年2月オハイオ州立大学Ph.D.(地理学)取得。現在、埼玉大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
32
2009年初版。エスピン・アンデルセンの福祉国家レジームによりながら、保育と女性就業と少子化問題について比較研究が行われています。女性が誰でも働きやすい社会を築くこと、親が誰もが子育てしやすく、また子どもをつくるかつくらないかも完全に自由であること、そうしたことを前提にすえて福祉国家がどうあるべきなのかを考えることは大切だと思います。保育政策を充実させれば少子化が解決されるという単純な問題ではないですし、そもそも少子化対策として保育政策を考えるのは誤りでしょう。権利・人権として福祉を捉えることが大切です。2019/02/17