心理学で文学を読む―困難を乗り越える力を育む

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心理学で文学を読む―困難を乗り越える力を育む

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  • サイズ B6判/ページ数 179,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788514355
  • NDC分類 143
  • Cコード C1011

内容説明

何が人を立ち直らせるのか?つらい状況と向き合う主人公の言動を発達心理学の視点から読み解く。そこから見えてくる、人間のもつ精神的回復力の可能性。

目次

1 何が人を立ち直らせるのか(主人公カフカはなぜ立ち直ったのか―村上春樹『海辺のカフカ』;二人の少年はなぜ立ち直ったのか―山田洋次『学校2』;老人と少年の交流―小川洋子『博士の愛した数式』と湯本香樹実『夏の庭』;被虐待児の立ち直り―デイヴ・ペルザー『“It”(それ)と呼ばれた子』)
2 心の発達―道徳性をめぐって(少年の連帯―ゴールディング『蠅の王』と大江健三郎『芽むしり仔撃ち』;罪悪感再考:4つの罪悪感をめぐって―遠藤周作『沈黙』『死海のほとり』とユン・チアン『ワイルド・スワン』;罪悪感と日本の国語教科書―夏目漱石『こころ』、森鴎外『舞姫』、芥川龍之介『羅生門』、新美南吉『ごんぎつね』)
3 心の発達―対人関係の変化をめぐって(『悪童日記』の主人公の育ちと対人関係―アゴタ・クリストフ『悪童日記』三部作;アンの成長の妥当性―ルーシー・モンゴメリ『赤毛のアン』)

著者等紹介

山岸明子[ヤマギシアキコ]
東京生まれ。東京大学教育学部教育心理学科卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。教育学博士(東京大学)。順天堂医療短期大学、順天堂大学医療看護学部、スポーツ健康科学部教授を歴任。専門は発達心理学・教育心理学。2014年定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ecriture

4
村上春樹の『海辺のカフカ』のカフカ少年がなぜ立ち直れたのかを、発達心理学を通して分析するとかいう章があるのだが、「作家の洞察と発達心理学の知見がかなり一致することが示されたといえる」という結句に達してしまうので、だから何なんだと思う。最も良くてパラフレーズにしかならないだろう。2015/06/13

眠り猫

0
小説の登場人物の行動を発達心理学から読み解く、という目の付け所が面白い。海辺のカフカの主人公の少年を当てはめると年齢にそぐわぬ発達が見られる。確かに15歳にしては大人びているが村上春樹の思い描く15歳の人生はこのようになるのであろうか。大学受験を控えて悩んでいる17歳くらいならうなずけるのだが。2021/02/09

kb

0
虐待を受けた経験を持つ子供たちが周囲との関係から回復していく物語、大人から見放された極限状態で子供たちが協力し合って危機を乗り越えようとする物語、罪悪感を軸として読み解く贖罪の物語などを心理学を用いて丁寧に読み解く。内的作業モデルに影響を大きくもたらすのは結局、幼児期における十分な愛情を受けて育つことが重要なのだと痛感させられる。余談だが、高校時代に読んだ蠅の王やアゴタクリストフ三部作について深堀りされおり、疑問に感じていた点を丁寧に読み解いた筆者には感謝の念に堪えない。2019/03/17

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