エリートの反逆―現代民主主義の病い

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エリートの反逆―現代民主主義の病い

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  • サイズ B6判/ページ数 332p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788506053
  • NDC分類 361.8
  • Cコード C1036

出版社内容情報

 民主主義は今や「大衆の反逆」ではなく「エリートの反逆」に脅かされている。コスモポリタニズムや国際化,ネットワークの美名に隠れて市民としての責任を放棄しつつあるエリート・知識人文化の病理を痛烈に抉り出した,鬼才ラッシュの「白鳥の歌」。

 おおまかに言えば、近年の歴史過程はもはや社会的差異の平準化に有利に働くのではなく、少数の恵まれた者が金銭と教育と権力の利益を独占する二階級社会の方向へ、ますます向かっている。近代的な生活から得られる快適さが産業革命以前よりますます広い範囲に分配されつつあることは、もちろんいまでも否定できない。オルテガが「歴史的水準の上昇」について語ったとき、彼の念頭にあったのはこうした快適さの民主化であった。他の多くの人々と同様にオルテガは、近代的な分業がもたらす前代未聞の豊さや、贅沢品が必需品へ変容してゆくこと、また以前は金持ちだけに限定されていた快適さや利便性の水準が民衆のものとなってゆくことに強い印象をいだいた。

著者紹介
 クリストファー・ラッシュ(一九三一~一九九四)は言わずと知れたベストセラー『ナルシシズムの文化』(邦訳『ナルシシズムの時代』)の著者。独自の方法とスタイルをもったその鋭い時代批評によって、アメリカで最もよく名の知られた歴史学者のひとりであった。ロチェスター大学で歴史学の教授をしていた彼がいささか短すぎる生命を絶たれたのが一九九四年二月、本書が出版されたのが一九九五年一月。本書はラッシュの遺著である。(「訳者あとがき」より)

 ・「出版ニュース」 97.12上
 ・「いまやエリートこそ民主主義の敵なのだ」(京都新聞 97.11.2)

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 【関連書籍】
 『 資本主義黒書 市場経済との訣別 』 R・クルツ著 (上巻6930円 2007.5月 下巻7月予定)
 『 競争の社会的構造 』 R・S・バート著 (定価4830円 2006)
 『 空間管理社会 』 安部潔、成実弘至編著 (定価2520円 2006)

 【書物復権 2007】
 『 社会科学の理念 』 P・ウィンチ著 (定価2100円 初版1977を復刊)

内容説明

国境を超えて流動する経済に酔いしれ、グローバルなネットワークに棲みつき、ノーブレス・オブリージュを放棄して、民主主義・市民社会を腐食しつつある知識人・経営エリートへの痛烈な批判。

目次

序章―民主主義の病い
エリートの反逆
約束の地における「機会」―社会移動か、能力の民主主義か
民主主義は生き残るにあたいするか
コミュニタリアニズムかポピュリズムか―同情の倫理と尊敬の倫理
会話と市民としての技術
ニューヨークの人種政治―共通規準への攻撃
公立学校―ホレス・マンと想像力への攻撃〔ほか〕

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぽん教授(非実在系)

4
メリトクラシーの下で育ったオルテガ的大衆的エリートは己の利権を保持してノブリス・オブリージュを放棄したい、人種やジェンダーなどがいくら問題になってもそうした堕ちたエリートの利権構造は何も変わらないのでエリートも安心できる、などという身も蓋もなさすぎる分析を行っている。トランプ政権が誕生するのも無理はない、とラッシュが生きていたら分析していたのであろう。2021/03/22

抹茶ケーキ

1
オルテガは大衆が現代社会を蝕んでいると主張したが、80年代以降のアメリカにおいてむしろ逆にエリートこそが社会を蝕んでいる。彼らエリートはコミュニティに帰属意識を持たず、したがって社会に対して義務を負っていると考えないため、好きなように振る舞い、社会の不平等を拡大している。みたいな話が第1章で。ほかの章はメディアや政治などいろいろなことについて。若干とりとめもなくまとめられている印象を受けた。2016/09/29

日の光と暁の藍

1
エリート主義が、民主主義を蝕んでいる。それは、メリトクラシーのみが人の至上命題になったからだとラッシュは言う。市場は、かつて市場になかったものを市場へと取り込んでいっている。格差や貧困に対し十分な福祉政策がとられていない。市場も駄目、国家も駄目。では、どうすればよいのか。 ラッシュは、肩書きや身分の上下や貧富の差を度外視した議論こそが民主主義の本来の姿だと主張する。それを体現できるのが近隣社会だと。しかし、近代化した今、それも難しいだろう。ラッシュの問題意識に答えられる回答を我々はまだ得られていない。2012/10/21

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