出版社内容情報
微生物による木材分解メカニズム、菌糸体の意思決定能力、
森の枯木不足が生態系に及ぼす影響、枯木が炭素貯留に役立つ仕組みまで。
日本全国のアカマツ林を巡り歩いたり、リスの食べ残しを舐めてみたり、
探究心旺盛な研究者が身近な枯木の自然誌を解き明かす!
枯れて命を終えた樹木は、それで「終わり」ではない。
樹皮の表面や幹の中で動物や昆虫を養い、菌類に分解されたのちは土に還るまでの間も炭素を貯留するなど、森林生態系や地球全体に関わる重要な働きを持っている。
本書は、これまで注目されてこなかった枯木を起点に広がるニッチな世界を、動物・植物・菌類・土壌・地球環境といったさまざまな視点から描いた、森の見方が変わる一冊だ。
著者は東北大学大学院農学研究科助教で、専門は森林生態学、微生物生態学、生物多様性生態学。
小学生の頃からコケと変形菌に興味を持ち、長じては大学構内の森で変形菌を探したり、標本を布団乾燥機で乾燥させたり、世界中の研究者に声をかけて6カ国での共同研究を行なったりとバイタリティに溢れた人物で、軽快な語り口で読者を知られざる枯木の世界に誘う。
内容説明
枯木を利用する生き物たちの暮らしから、微生物による木材分解のメカニズム、菌糸体の意思決定能力、林業や森林整備による枯木不足が生態系に及ぼす影響、倒木更新と菌類の関係、枯木の存在が炭素貯留に役立つ仕組みまで。身近な枯木の知られざる自然誌を解き明かす。
目次
1 枯木ホテルの住人たち(コケ―エメラルドシティ;変形菌―森の宝石;キノコ―記憶し決断するネットワーク;腐生ラン―菌を食う植物;動物たち―庭の丸太実験;まだ出会っていない生き物たち―環境DNAで“見える化”)
2 枯木が世界を救う(木が「腐る」―お菓子の家で考える;森が消える―樹木の大量枯死;枯木が消える―喪失を取り戻せるか;枯木の恩恵―生態系サービス;次世代の森へ―倒木更新)
著者等紹介
深澤遊[フカサワユウ]
1979年、山梨県生まれ。信州大学農学部卒業、京都大学大学院農学研究科修了。博士(農学)。日本学術振興会特別研究員(京都大学)、森林組合職員(和歌山県)、財団法人トトロのふるさと財団職員(埼玉県)を経て、東北大学大学院農学研究科助教。東北の森に住みつつ、枯木を訪ねて世界中の森をめぐる。International Mycological Association Keisuke Tubaki Medal、日本生態学会宮地賞、日本菌学会奨励賞、日本森林学会奨励賞などを受賞。2021年、独創的な研究に挑戦する若手研究者「東北大学プロミネントリサーチフェロー」に選出される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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