内容説明
明和六年(1769)元旦、淡路島の赤貧の家に生まれ、十一歳で口減らしのため働きに出た嘉兵衛の夢は、大船の船主になり大海を自在に往来する海運業者になることだった。才覚と好運から大船「辰悦丸」千五百石積を建造するに及び、蝦夷地箱館を根拠地に北方エトロフ、箱館、兵庫と天性を発揮、北の王者となる海の男の歴史小説。
感想・レビュー
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糜竺(びじく)
32
司馬遼太郎の小説の「菜の花の沖」と同じ主人公、高田屋嘉兵衛の歴史小説で、こちらの方が短そうだったので購入(笑)。日本がまだ鎖国時代の淡路島で極貧の家に生まれ、夢をもって船乗りになり、函館を拠点に海運業者として成功していくのが前半の話です。しかし、やはり後半が面白かった!蝦夷地でロシアとのいざこざが起きるんですが、彼が紛糾寸前と思える日露間の外交交渉を担って、和平の大偉業を成し遂げます。特にロシア人のリコルドとの友としての交流には感動したし、和平がなった時にはホントに爽やかに読めました。読んで良かったです!2013/09/10