内容説明
本書は、一九八〇年代後半から新世紀初年度にかけての日本経済、それとの関わりでのアメリカ経済の分析を試みたものである。七一年八月のドル・金交換停止によって基軸通貨・ドルは実質的に形骸化しながら、しかし資本主義各国間の協調(アメリカの軍事力を背景とした各国への制裁、威嚇が加わった中で)によって今日までドル体制が維持されてきた。しかし、九〇年代後半以降の全世界的規模での通貨・金融投機、それによる各国実体経済の撹乱こそ、ドル体制維持策の結末といえる。結論的にいえば、今日の経済危機をもたらしている根源は、現代的金融資本の全世界的展開による金融帝国主義にある。こうした現実経済の実態分析をふまえながら、経済危機克服への基礎的理解、基本的方向性をも明かにしようと試みる。
目次
1 分析の視点―経済の基本は何か
2 現代経済の実態分析―日本とアメリカ(日本経済―金融・財政危機の根源;アメリカ―虚構の金融帝国 ほか)
3 新自由主義と国家(政策批判;新自由主義批判)
4 現代の歴史的位置―危機からの脱出は(自主・創造の社会をめざして;分析方法の確立のために―『帝国主義論』と現代)
著者等紹介
鎌倉孝夫[カマクラタカオ]
1934年2月東京生まれ。1956年3月埼玉大学文理学部卒。1961年3月東京大学大学院経済学研究科博士課程終了。経済学博士。現在、埼玉大学名誉教授、東日本国際大学学長・教授
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