内容説明
独裁の鉄の踵にふみにじられた民衆。ヒトラーの到来を予言したこの不思議な未来小説は、現代の絶望への黙示録といえる。ジャック・ロンドンの一大未来小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lico
1
第一次世界大戦以前に執筆された政治小説。資本主義の果てに訪れる独裁政治によるディストピア社会が描かれる。社会主義者、革命家への楽観が大きく、作中で国家間の戦争を止めた社会主義者達の働きは、史実における彼らの行動と照らし合わせてみるとなかなか感慨深いものがある。/「皆が賛成できない人の心理状態はおかしいに決まっている。(中略)正常な人が、皆の正常な結論と根本的に食い違うなどということは考えられないんだよ。(117p)」という言葉はのちの多くのディストピア小説における主人公の抱える大きな問題を言い表している。2016/01/21
azimuth
0
いわゆるプロパガンダ文学だったのかなあ。「小説……?」と首を傾げたくなるような、思想が前面に押し出された箇所が多い。資本主義とか社会主義の仕組みを説明した教科書を読んでるような気分でした。しかし、筆力のおかげか、小難しい思想のところもすらすら読めるし、なにより理解しやすい。マルクスの剰余価値学説の説明なんて、普通の解説書よりうまい。また、あとがきにも書かれていましたが、ビアスの『悪魔の辞典』ばりの注釈がおもしろい。この作品中最大の文学的要素だとおもう。2011/11/20
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