内容説明
アニメ産業はなぜ発展しづけられたのか。制作に際して個人と全体の両立を目指す文化に着目して、製造業としての側面に光を当てる。仕上・撮影・編集・CGの各工程に従事する制作者などにインタビューを重ねて、アニメ産業の知られざる課題をあぶり出す。
目次
序章 製造業としてのアニメ制作(対立する二つの視点;集団からの視点の採用;個と全体の両立;製造業的な視点からみる意義)
第1章 個と全体からみたアニメの特徴(アニメの特徴と本書での分類の試み;CMでのアニメーション制作の具体相)
第2章 製造業的アニメ制作の始まり(近代産業としてのアニメ制作と日本の状況;東映動画での分業の実情と深化;「寄木細工性」認知スタイルの定着)
第3章 アニメ史にみえる製造業的なもの(東映動画の文化と宮崎駿;手治虫と虫プロダクションの「労働」;虫プロダクションの文化と制作管理部門;混乱後の東映動画)
第4章 非演出・作画職での個と集団の関係(具体的な工程と指揮系統;仕上;撮影)
第5章 アニメ専門職位以外での個と集団の関係(編集;CG)
第6章 非製造業的見地から強いられる無能(動画職の仕事と専門性;動画の単純労働化;広がる単純労働)
終章 製造業的視点からみたアニメ制作の課題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ユウティ
5
論文なので硬めなんだけど、わりと読みやすいしたっぷりだし満足した。前半は個人的な表現とか芸術というアニメの始まりから、ディズニーによる分業化・製造業化の流れや、東映動画(&宮崎駿)と虫プロの制作への姿勢の違いなどが面白かった。後半はインタビューを交えながら実際の行程を追うように書かれていて、こちらは絵がないので素人のわたしには若干分かりにくいところもあったかな。今まではアニメーションと言われてもテレビアニメとセル画やCGを描いて動かすイメージしかなかったのだけど、もっとずっと広い分野と仕事があるのね。2026/08/09
菊地
4
割と硬めの筆致で書かれており、黎明期のアニメーション史を語るところから始まり、「製造業としてのアニメーション」としての言説は「アーティスト」と「職人」概念の対立と言った切り口。 アニメ史としては定番の内容で斬新さは無いけど、そこをアーティスト・職人概念で切り分ける切り口は悪くなかった。 後半は仕上げや撮影などの決して花形ではないアニメーション制作職のインタビューを中心に構成されており、「現場の声」としての面白味はある。ただあくまで「現場にいる個人の意見」の集合であり、統一論にはなりえていない気はするかな。2026/08/22




