内容説明
大日本新聞初のMBA取得者として鳴り物入社した麻倉智子。だが、社内政治の道具として異動させられた社会部では、学歴とプライドと靴のヒールは高くても記者としての能力は低いと、ダメ記者扱い。焦りと苛々が募っていた矢先、独居老人の医療問題を追うなかで、取材対象の老人が次々に死亡する。一体何故!?社内の権力争いの波にもまれつつも、記者としての意識に目覚めた智子は、事件を追いはじめるが…。老人医療現場の悲しい現実に美人記者が立ち向かう。
著者等紹介
仙川環[センカワタマキ]
1968年、東京都生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。1997年、某大手新聞社に入社、医療技術、介護、科学技術等の記者を務めながら小説を書き、2002年に『感染』で第一回小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。新聞社退社後は執筆活動に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
94
話としては面白かったんですが、タイトルとか主人公の設定もう少し何とかならないものか?2017/04/01
Tsuyoshi
74
初のMBA取得者として新聞社に採用されつつも、社会部の現場ではダメ記者扱いされていた主人公の麻倉智子。取材先の独居老人が次々に亡くなっていく事を不審に思い取材とは別に独自に真相に迫る展開。特に事が動く後半からは盛り上がりを見せて一気読み。お互いに心労が絶えない老人在宅医療の厳しい現実やマスコミに取り上げられないと国は真剣に考えてくれないという介護現場の声が印象的であり、考えさせられる作品だった。2018/03/20
キムチ
36
筆者初読み。経歴からすると、経験を土台にした展開かと。惜しむらくは、頭がいい方だけに、文体が硬くさらっとは読めない。テーマは超高齢化・在宅介護・医療の関わりの限界など。新人とはいえ、有能なキャリアを持つ女性記者が周囲から浮き、足を掬われつつも持ち前の熱血?で成長していく姿が展開する。サスペンス、ミステリーとはいい難く、結論は当初から予測できた通りにエンド。現実社会からすると当然かと思うが。読み終えて「今、これからの喧騒が文中に舞っている」作品だなぁ~と感じた。これって現実?!と思う人はある意味幸せかなとも2014/08/13
トラキチ
32
桐谷美玲主演でNHKでドラマ化を機に読んでみました。仙川さん初読みです。内容的にはミステリー仕立てで介護問題と新聞社内での権力争いを交えながら、社内初のMBA取得者である主人公麻倉智子の成長を描いています。 そうですね、文庫の裏表紙の紹介文の最後に“美人記者”という表現があるのですが、それによって智子に対して男性読者にはより可愛く感じられ、女性読者には逆に反感を買い疎んじられるような構図が読めてきます。 このあたり、少し共感小説としたら弱いかもしれませんね。(→続く) 2014/07/20
zanta
21
主人公の成長譚としても仕事小説としても面白い。その上に老々介護や終末期医療のこと、孤独死のこと。ミステリーの味付けと盛りだくさん。そしてどの部分も楽しめた。というか介護のこと、終末期のこと。家族のこと、考えさせられた。重いテーマだが、成長譚としては爽やかで、味わい深い。身につまされもする。後悔してはいないけど、父が病気したとき、仕事を失わざるを得なかった事を思い出す。自宅で最期を迎えたいという思いと、子世代の生活基盤と両方成り立つシステムの構築が待たれる。2014/04/18