内容説明
少年愛から呼称を変えながら連綿と受け継がれてきた「男性キャラクター同士の恋愛やセックスを軸にする物語」は、どのようにBLへと至ったのか。一九七〇年から二〇〇〇年までに商業ベースで出版されたマンガ二千八百七十三作品の表現を数量的に分析し、時期ごとの特徴を浮き彫りにする。
目次
はじめに “男×男”マンガの誕生と変化を考えるために
BLマンガというジャンル
第1部 変化を捉える―“男×男”マンガの通時性(ストーリーの数量的分析;キャラクターの数量的分析;カップルの数量的分析;セックスシーンの数量的分析)
第2部 時代の特徴を捉える―“男×男”マンガの共時性(“男×男”マンガの誕生―少年愛期;“男×男”マンガの成長―JUNE/耽美期;“男×男”マンガの転換―プレ・ボーイズラブ期;“男×男”マンガのジャンルの形成―ボーイズラブ期)
おわりに BLジャンルができるまで、できてから
著者等紹介
西原麻里[ニシハラマリ]
1984年、佐賀県生まれ。跡見学園女子大学文学部准教授。専攻は社会学、マンガをはじめとするメディア文化研究、ジェンダー・セクシュアリティ研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひるお
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1970年から2000年までに商業ベースで刊行された作品を分析し、男性同士の恋愛・性愛を描く漫画の様式や変化、傾向を追う、著者の博士学位論文。量的分析を行っているというのが本研究の最大の強み。突出した作品を取り上げて分析する、という質的な先行研究は数多あるが、量的なそれはほぼなかった(永久保陽子『やおい小説論』くらいか。ただ、タイトルにある通りこちらは小説が分析対象)。それゆえ、本書はやおい研究に関心を持つ者にとっては必読の書。時期ごとの傾向もより繊細に捉えられる。読めばやおい論の解像度が上がる。2025/03/03