内容説明
ウクライナ危機と世界秩序混迷の背景を読み解く国際政治分析。前著『ウクライナ・ゲート』に引き続き「ウクライナ問題」を解明する本書では、第1章でその後のウクライナ情勢を詳述する。第2章において、ロシアの経済分析と対中依存問題の考察を中心にロシア情勢を分析する。第3章では、今日の世界秩序の混迷の背景にある、米国の地政学的戦略、マネーと政治問題、ロビイストの活動について詳細に解明する。終章において、新しい世界観として、近代主権国家に代わるグローバルな新システムをめぐる問題提起をする。
目次
序章 「ウクライナ・ゲート」から「ウクライナ2.0」へ(ウクライナ危機の真実;米国の煽動と欧州の追従 ほか)
第1章 ウクライナ情勢(議会選と新内閣;「内戦」の実情 ほか)
第2章 ロシア情勢(二つの試練;反危機計画 ほか)
第3章 世界秩序の混迷:「剥き出しのカネ」と「剥き出しのヒト(米国の地政学的アプローチ;カネさえあればどにでもなる ほか)
終章 新しい世界観(「レントの重要性;「公民」の重要性 ほか)
付論 タックスヘイブンをめぐる嘘(定義と存在する地域;「有害な租税競争」に対する対応と限界 ほか)
著者等紹介
塩原俊彦[シオバラトシヒコ]
高知大学大学院准教授。1956年生まれ。ソ連・ロシア経済政策専攻。学術博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
68
序章の暴言口調に、トンでも本かと思ったが。 2015年刊。 ウクライナ危機の影にアメリカの姿が という、でも割としっかりした内容。 まあ、ロシアが侵入して戦争行われている現状では、読んでいいのかと思いながら。 巻末、ロビイスト、タックスヘイブン、はロシア問題とは直接関係ない気もするが、興味深かった2022/03/07
coolflat
15
米国がカネを使ってウクライナに積極的に働きかけ、ナショナリストをけしかけて民主的に選ばれたヤヌコヴィッチ大統領の追い落としを謀ったところにウクライナ危機の遠因がある。黒幕はヌーランド国務次官補であり、実働部隊が「ライトセクター」だ。ところで筆者は、ロシアと協調的なベラルーシやカザフスタンで、同様の危機が起こるのではないかと示唆している。いずれの大統領も必ずしも自由で民主的な選挙で選ばれたわけではないため、民主化を求めて国内の不満分子を煽動し、混乱を引き起こして米国よりの政権に代えるターゲットになりうると。2015/10/22
Arisaku_0225
8
途中で文字通り投げた。本書はクリミア併合(本書呼称ウクライナ危機)を通して如何にアメリカがロシアに対して攻撃している!という世界観を軸にウクライナ及びロシアの政治的経済的内情を論じている。紙幅はウクライナよりロシアとアメリカ批判の方が多い印象で露宇戦争を踏まえると読むに耐えない。著者はロシア経済の専門家。2023/03/23
ゼロ投資大学
2
2022年のロシアによるウクライナ侵攻より前に、ウクライナとロシアの情勢について書かれたのが本書である。2015年のロシアによるクリミア併合の原因となったのは、アメリカによる親露派政権から親米派政権への干渉だというのが本書の主張だ。一方からの視点で物事を視るのではなく、多面的に考えることで視野が広がる。2023/11/11
Tmont
1
アメリカ絶対正義論、ウクライナ絶対正義論で蔓延したいまの世の中、読んでほしい本だよ。アメリカは他人の庭を弄り倒して、最後に焼き払って正義面するいつものアメリカで、ウクライナもロシアもどっちもどっち。 マスコミは欧米絶対追従で役に立たないから、この本を無料で配ってもいいと思うレベル。まだ、この国は脱亜入欧だと思ってんだなあ。2022/04/07