内容説明
全米で最も熱いコメディアンをつくったのはアパルトヘイトと偉大な母だった。NEW YORK TIMES2017ベストブック。
目次
第1部(走れ;生まれたことが犯罪;トレバー、お祈りして ほか)
第2部(桑の木;思春期の、長く、ぎこちなく、ときに悲劇的で、いたたまれないことだらけの恋の教訓 その1「バレンタインデー」;アウトサイダー ほか)
第3部(いいぞ、ヒトラー!;チーズボーイ;世間は守ってくれない ほか)
著者等紹介
ノア,トレバー[ノア,トレバー] [Noah,Trevor]
コメディアン。1984年、南アフリカで黒人の母と白人の父の間に生まれる。アパルトヘイト体制だった当時「生まれたことが犯罪」だった。2015年にアメリカを代表する政治風刺ニュース番組「ザ・デイリー・ショー」の司会に就任。2016年の大統領選のときにはその切れ味鋭いユーモアで大きな注目を集める。2018年にはグラミー賞のプレゼンターも務めた。アメリカに拠点を移してからも、世界各国で活躍中
齋藤慎子[サイトウノリコ]
同志社大学文学部英文学科卒業。広告業界で主に海外向けの企画制作と他国語編集に従事。その後、オーストラリア、スペインで企業内翻訳などを経て、フリーランスの翻訳者。スペイン在住。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
91
アパルトヘイト後のアフリカの事はクッツェーやゴーディマなど、主にアフリカーヌ文学という「白人視点」でしか知らなかった。これは当時、「白人と黒人の間に子ができた場合、罪となる」時に生まれた子供が語る「黒人と白人の子供というマイノリティ視点」で書かれた本でもある。アパルトヘイト後は民族による黒人同士で殺されるかもしれなかった状況も描かれていて、問題の解決が押さえつけられていた問題を顕在化するという事実も描いている。しかし、トレバー君、ヤンチャするにしても家を燃やしたり、盗品を売買したりと色々、豪快すぎる(笑)2018/12/28
しいたけ
75
アメリカで活躍するコメディアンで、政治風刺ニュース番組等の司会もこなすというトレバー・ノア。アパルトヘイト下の南アフリカで黒人の母と白人の父との間に生まれた。トレバーの存在は両親の愛の証ではなく犯罪行為の証となる。南アフリカの複雑な民族構成も相まって、トレバーの立ち位置は一層過酷なものになる。悪事も働いているが、それが何だというのだろう。環境に応じた生き方があることを理解できないなら読む資格はない。並走する母親の来し方が生き生きとしていて魅力的だ。トレバーの人生を楽しむ才能は母親から継いだのだろう。2023/11/09
榊原 香織
71
南アフリカ、黒人と白人のハーフ、は違法、になるアパルトヘイト時代。 コメディアンのトレバー・ノアが自身の生い立ちをノリ良く話すように書いてる、が、かなりヴァイオレンス。 家全焼させたりして、いたずらっ子のレベルで済まないと思うんだけど。2021/11/04
Shun
27
なんと刺激的なタイトル。アメリカを拠点に活躍するコメディアンの波乱の生い立ちを軽快な筆致で読めます。アパルトヘイト体制下のアフリカで、白人の父と黒人の母から産まれたトレバーはその存在故に当時のアフリカ社会の滅茶苦茶な現実を独自の観点で見続けてきた。序盤ではアパルトヘイトがいかに非論理的な仕組みだったかがよく分かる。尊厳なんてものが無かった社会で、母親がトレバーに与えた愛情や教育はかなりぶっ飛んではいたが、最後の章ではその母の愛の深度に思わずこみ上げるものを感じました。ー”体制に歯向かうな、からかえ”ー2018/12/03
タカラ~ム
22
11月からスタートした「 #はじめての海外文学 フェア」で翻訳家のくぼたのぞみさんが推薦しているのが本書。著者のトレバー・ノアは南アフリカ生まれで現在はアメリカでスタンダップコメディアンとして活動している。彼がその半生を綴ったのがこの本で、ここにはアパルトヘイトの中で白人と黒人の混血として生まれた彼の逞しさがユーモラスに書かれている。彼自身が経験する差別や貧困の厳しさは想像を絶するが、その状況を乗り越えていく彼と、なにより母パトリシアの逞しさに敬服してしまう。2018/11/02