内容説明
日記とは何か、古記録とは何か?長く古記録に関わる研究を牽引してきた著者による、二十数年余りの間に発表された摂関期の古記録に関する論考と、新稿をまとめた論文集。古記録と具注暦を概観し、『小右記』の「記録」状況の仮説を提示する第一部、『小右記』や『御堂関白記』『権記』などの古記録とその写本の表記を詳細に比較分析する第二部、おもに説話に関する論考から『小右記』の特異性や摂関期の「天皇」号を考察する論考までを盛り込んだ第三部で構成する。古記録研究の到達点を示すとともに、未来への礎となる一書。
目次
第1部 古記録の研究(日記が語る日本古代史;『延喜式』と頒暦・具注暦;『小右記』の記録状況)
第2部 古記録の分析(『小右記』の仮名;『御堂関白記』の仮名再考;『御堂関白記』古写本を書写した「某」;三条朝の公卿議定;『権記』に見える配偶者の表記;『小右記』に見える藤原実資の配偶者と表記)
第3部 古記録と貴族社会(藤原兼通の政権獲得過程;「コノ話ハ蓋シ小右記ニ出シナラン」考―『小右記』と説話との間に;平安貴族社会における「老い」;摂関期の君主号)
古記録研究の展望
著者等紹介
倉本一宏[クラモトカズヒロ]
1958年、三重県津市生まれ。1983年、東京大学文学部国史学専修課程卒業。1989年、同大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程単位修得退学。1997年、博士(文学、東京大学)。現在、国際日本文化研究センター名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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