出版社内容情報
法廷を手玉に取る不可能犯罪。
徹底した論理で追い詰める魔女狩り。
正義の火刑審問官VS策謀の弁護士
張り巡らされた罠を見破って、勝つのは誰だ?!
怒濤のロジックと驚愕の結末に息をのむ、次世代本格ミステリの最高峰!
内容説明
十数年前、突如現れた“魔女”―箒に乗って空を飛び、黒猫に化けることができ、近くにいる人の感情を操ることができる存在。文明社会の秩序を脅かす魔女たちを取り締まる司法が“火刑法廷”であり、この裁判で魔女と認定された者は火炙りとなる。ある日、空を飛行したのでなければ不可能な死亡事件が起こる。魔女と疑いをかけられた被告の少女カラーをじっと見つめるのは、被害者の義娘となる予定だったエリス。エリスは知っていた。あの夜、本当は何が起こっていたのかを―。怒涛のロジックと驚愕の結末に息をのむ、次世代本格ミステリの最高峰!
著者等紹介
榊林銘[サカキバヤシメイ]
1989年、愛知県生まれ。名古屋大学卒。2015年「十五秒」が第12回ミステリーズ!新人賞佳作となり、’21年、同作を含む短編集『あと十五秒で死ぬ』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
127
魔女が登場する世界が舞台の法廷ミステリとは、何重にも倒錯した超特殊設定。しかも法があってなきが如き火刑法廷での審問官と弁護士の対決は、古美門研介と羽生晴樹のやり合いを思い出す。途中で新たな情報が次々明かされ、現場の見取り図満載ながら各事件の謎が明快に解けず逆にわかりにくくなるので始末が悪い。しかも審問官オペラのドジっ子ぶりはコメディよりひどく、本職の異端審問官が傍聴したら「もっとマジメにやれ」と激怒するのは確実だろう。ミステリというより度重なる失敗を経てオペラの成長を描く純粋なファンタジー小説ではないか。2024/04/09
yukaring
74
魔女と認定されると火炙りの刑がはじまる恐るべき火刑法廷。箒で空を飛び、黒猫に変身できて近くにいる人の感情を操る魔女を恐れる人々。しかし魔女たちは正体がバレることを恐れ、息をひそめるように暮らしていた…。これはまるでマイノリティを排除せんとする悪しき社会のしくみを見ているよう。魔女の少女達の恐れや覚悟、連帯感に心が痛くなる。そして彼女達を救おうとする弁護士と火刑審問官との法廷バトルは中々の見もの。目的の為なら手段を選ばない弁護士の策略はかなり強引だが、魔女でなければ実行できない不可能犯罪の解明も楽しかった。2024/06/15
aquamarine
66
今回榊林さんが作り出したのは、魔女の存在する世界。彼女たちは「火刑法廷」で取り締まられ、この裁判で魔女と認定された者は火炙りとなる…有罪か無罪かより魔女かそうでないかが取り沙汰されるその場での火刑審問官と弁護士の攻防が読みどころなのだが、ここで闘わせるロジックが凄い。図解がわかりやすいのもあって、話が進むたびにそれについていくために頭をフル回転させ、頭の中が熱くなる。さらに魔女と疑われる被疑者側にも審問官のオペラにも感情を持っていかれ夢中で読んだ。初長編だと思うが前作と違うこれも好き。今後も追いかけます。2024/04/20
オーウェン
58
魔女がいる世界であり、取り締まり対象になるのが火刑法廷。 それは魔女と認定されたら火炙りの刑に処される。 計3つの事件で裁判が行われるが、魔女の特徴として、箒で空を飛べたり、猫に変化出来たりという部分が、密室や不可能犯罪をミステリとして作る。 真相がどうのこうのというより、いかにしてそれが可能なのか。 つまり被疑者が魔女かどうかという点に置いて、審問官と弁護士が答弁を繰り広げる。 設定は凝っているが、いささか長すぎる感がある。 裁判と並行して、そのためのエピソードなども流れを寸断されていて微妙だった。2024/06/03
オフィーリア
57
魔女の実在する世界観での“火刑法廷”、そこで問われるのは“被告は魔女か否か”のみ。魔女と認定されれば即火炙りとなる法廷で、弁護士は魔女を守る為に審問官と論理詭弁捏造何でもありのロジックバトルを繰り広げる。特殊設定下でのハイテンポで綿密な推理バトルに大満足。2024/04/14
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