内容説明
約四百年にもわたり、貴族が栄華を誇った平安時代。平和な世から武士が発生し、政権を樹立するまでに至ったのはなぜか?貴族たちはなぜ武家政権の成立を許したのか?そして武家政権下で公家が存続できたのはなぜか?「貴族と武士」という日本史の最重要テーマを、古代・中世・近世・近代・東洋史の研究者約四十名が集い議論する。
目次
第1部 古代(摂関期の武人と貴族;摂関期における武者の「優免」 ほか)
第2部 中世(武士論の成果と課題;平安末~鎌倉時代の摂関家と武家勢力 ほか)
第3部 近世・近代(近世前期、「首都」江戸の京都文化の摂取に関する考察―権力都市・政治都市の権威化;萩藩毛利家における公武婚 ほか)
第4部 武士の国際比較(中国における文と武―〓と武人、門閥貴族、士大夫・郷紳と文人;武と文―馬上で天下を治むるをあたわず ほか)
著者等紹介
倉本一宏[クラモトカズヒロ]
1958年生。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位修得退学、博士(文学)。国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田中峰和
4
400年にわたり、栄華を誇ったのは貴族だが、武士の時代はそれより少し長い。平安末期、院生時代になると武士は台頭してくるが、貴族の暴力装置としての活躍はさらに前になる。清和源氏と桓武平氏はともに軍事貴族として中世武士へとつながる家柄。信長は平氏を名乗り、家康は源氏を名乗った。成り上がりの戦国武将にとって、それほど家柄を大事にしていた証である。本格的な植民地時代の到来で、中国が危機を迎え、武家社会も転機を迎えた。長州や薩摩の下級武士は、天皇を担ぐために貴族を利用し、武士の頭領徳川家を滅ぼし武家社会は終了した。2024/05/28