感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきあかね
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辻邦生が1990年から、急逝する1999年まで信濃毎日新聞に毎週掲載した文章が集められている。戦時中に旧制松本高校に学び、その後も毎夏を軽井沢で過ごした辻にとって、山々に囲まれた美しい自然の残る信州は、かけがえのない場所であったことが伝わってくる。 典雅な文章で、永遠性を追い求める人物を描いた小説が多く、随筆も主に文学、絵画、音楽等を主な対象にしていたので、本書のように国際紛争や国内政治から、大リーグでの野茂選手の活躍まで、広範な時事の話題を扱っているのが新鮮だった。⇒2024/09/17