目次
銃弾
三十歳
三十五歳
復興
生活の粒子
小詩集 社会
新社会人
僕は仕事ができない
恐怖
世界の外側〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
17
一番最後におかれた詩「はじまり」にたどりつき、最後の一文「私の人生はまだはじまってすらいなかったのだ」を読み終えたとき、本書は詩集というよりも詩人独自の論理に貫かれた理論書、あるいは人権宣言のようだと感じた。詩人独自の論理とは〈回帰〉であり、〈回帰〉の過程で人間と社会と自然との間に交わされる様々なかたちの〈博物学〉である。そのかたちは「撃ち出された現実性しかない弾丸」(「銃弾」より)のかたちであり、「いつも事件のように現れ」る看板や「その事件の詳細な内容のよう」な建物のかたち(「三十五歳」より)、2020/07/03
えみ
3
『zero』や『vary』も興味深く読ませていただいたけれど、こちらが今まで一番心に響いた。労働は、病で療養している私には縁遠いものだからあまりピンと来ないかもしれないと目次を見た時に案じた。しかし、詩に対して、自分に対して、他者に対して真摯に向き合う姿勢を貫徹していることがどの詩を読んでもうかがえて、その点に甚く感動し、不安はすぐに払拭され、純粋に詩を読むのが楽しいと思うに至った。詩集の最後に「はじまり」の詩があり、読み始める時と似たワクワク感をもって読み終えた。2022/05/22