出版社内容情報
奏でられるままに
もうすぐ聞こえるから
黙っておいて。
あたたかくたゆたったまま
ずっとずっと黙っておいて。
(「呼ばれる支度」)
屋根をたたくものはなに? 窓を鳴らすものはなに? わたしを揺らすものはなに? ほらここにも詩の庭ができる――最年少での萩原朔太郎賞受賞から2年、移動を日常としながらつねに新しい言葉を模索する。それは詩の場所をつくる試み。35篇からなるさらなる飛躍の新詩集。装画=植田志保
三角 みづ紀[ミスミミヅキ]
著・文・その他
目次
泥濘(呼ばれる支度;保つ日 ほか)
生没同日(定点観測;生没同日 ほか)
枝垂れる(月曜日、釈明;火曜日、しじま ほか)
クラシックラジオ(長距離バス;知らない国 ほか)
かなでるひと(心をこわすために遠くへ;洗礼 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蒼1228
2
本箱で読了。表紙が綺麗で手に取る。普段長編小説ばかり読んでしまうせいか、詩も長編の時の呼吸、スピードで読んでいつもさらさら流れていってしまい、よく分からないなあとなるのだけれど、やっぱりこの本もそうでした。もっと丁寧に読みたいなぁ。2023/09/07
野乃子
2
詩人・三角みづ紀さんの第6詩集。 現代詩というもの、詩作は生活に深く根付いていると作品をもって教えてくれた詩人。 彼女の詩はもの悲しく温度が低い。 行間は白く、触感はシリコンみたいに生物のような生物でないような。 その細やかな憂いをずっと失わずにいながら、ひとつの器として彼女の生活や、眼に映る景色、享受のかたちが変化していくのを詩を通して穏やかに感じられる。 生活をおこなうのは現実のからだでだけではないと知ることができる。 『その視点』と『水曜日、万有と』という2篇が好き。2019/05/03
ハンパク
2
街中や生活の中に潜んだ物語の何気ない一面をとらえて、そこに認識のゆらぎ、感覚の痛みを見る、と感じた。逆の読み方もできた。感覚の痛みから、認識のゆらぎが立ちあがってくる。一冊の本を通してみたリズムで言うと、私には松浦寿輝さんの『afterward』のほうが優れていたと感じられる。単調。私の精神環境が違ったから?2016/09/08
蜜
0
詩歌集。淋しくて冷たい底から、暖かな方を見るようなトーン。一定の距離から付かず離れず、心の端に触れてくる2017/03/31