内容説明
動物たちはそれぞれ独自の環境をもつ。その驚くべき眺めの世界を紹介する。
目次
第1部 動物と人間の環境世界への散歩(環境世界の諸空間;最遠平面;知覚時間;簡単な環境世界 ほか)
第2部 意味の理論(意味の担い手;環境世界と居住圏;意味の利用;クモの巣の意味 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
264
本書は生物学の古典的名著の誉れ高いもの。著者のヤーコプ・フォン・ユクスキュルはドイツの(ただし生まれはエストニア)生物学者。「環世界」の提唱者として名高い。それぞれの生き物は、それぞれに固有の知覚と体験的世界を持っているとする。ともすれば、私たちは人間の感覚になぞらえて考えがちだが、彼らは彼ら独自の世界を生きている。例えば冒頭に登場するダニの環境世界は、酪酸と接触刺激、そして体温刺激とから成り立っているとするのである。どの項目でもそうなのだが、読んでいると、これが生物を語っているのだが、哲学の体系を⇒2025/01/02
亀山正喜
6
頭の良い利用者さんから紹介されて読んでみた。現在自己理解をテーマに色々と本を読んでいるが、仏教の唯識と並び、ただ「自分の環世界」があるだけということに気付いた。それが他の人間にも、ダニにも、ハチにも、クモにも、ハエにもある。ただそれだけ。生きていることに意味があるか?この本からは「ある」と私は読んだ。私達は意図せずとも相互の環世界に影響を与えながら生きている。それが良いか悪いかなど測れはしない。ただ、生きているだけで何かにとっての意味はある。自分にとっての環世界を理解していきたい。2020/10/11
大道寺
4
なんで岩波文庫版ではないのか!? たまたま八重洲ブックセンターのバーゲンブックで見つけて、その時は有名な本とも知らず題名だけ見て面白そうだと思って買ってきたのだった。岩波文庫で出ていると知っていたらそっちを買っていたね。そして積読しているうちに國分功一郎『暇と退屈の倫理学』が出た。読んだ。本書『生物から見た世界』が出てきた。岩波版とは違って本書では環世界(Umwelt)のことを環境世界と言っている。内容はタイトルの通りで、具体的な例がたくさん出てくる。(1/3)2012/06/06
★★★★★
3
生物はそれぞれが主体である「環境世界」に生きている、というのが基本アイデア。いま見えている世界はわれわれ人間にとってのみの世界であり、犬あるいはダニといった他の生物はまったく異なる世界に生きているということを、豊富な事例を基に論じている本でした。非常に面白かった。生物学者になればよかったぜ。2012/02/12
takao
2
見えてるものがすべてだろう。本人(その生物)は白黒の世界とは思っていない。2017/01/12