出版社内容情報
◆第一句集
湯ざめする女の身にもなつてみよ
この啖呵の小気味よさ。銭湯の前で長湯の男を待つ女。あ…◆第一句集
湯ざめする女の身にもなつてみよ
この啖呵の小気味よさ。銭湯の前で長湯の男を待つ女。あるいは湯宿に敷かれた蒲団の傍らで男を待つ女。そうした女の姿に仮託して、「女の身にもなつてみよ」の啖呵はこの世のすべての男どもに向けて切られるのだ。「女の身にもなつてみよ」、思えばこれがこの句集全体の放射するテーマなのである。
女のいじらしさ、男のたよりなさ、この世の理不尽を一身に負って、三代さんはこれからも俳句とともに突き進むのだ。
(序より・小川軽舟)
◆小川軽舟選
香水瓶並べし程に気まぐれも
東京は闇に飢ゑたり金魚玉
百合手向け事もあらうに嫉妬心
狐火や陶器のやうな女の背
蝌蚪に足もはや私の手に負へぬ
風船のちやほやされて割れにけり
柊の花やいつから泣いてゐた
凍蝶や何も映さぬ男の目
??に試されてゐる突き進む
序・小川軽舟
香水瓶 11
遠き日の 37
手に負へぬ 67
風船 105
思ひ出したやうに 151
あとがき
三代寿美代[ミシロ スミヨ]
昭和三十四年八月三十一日 島根県松江市に生れる
昭和五十五年?平成十七年 幼稚園教諭として出雲市斐川町(旧簸川郡斐川町)に勤務
昭和五十六年 「鷹」俳句会入会
平成二十年度 「鷹」第二十七回新葉賞受賞
現在 「鷹」同人 俳人協会会員
目次
香水瓶
遠き日の
手に負へぬ
風船
思ひ出したやうに