内容説明
国民多数が憲法の平和主義も自衛隊も支持していることをふまえ、1項も2項もそのままで自衛隊だけを明記する「加憲」案。九条の会世話人、新9条論者、改憲的護憲や立憲的改憲の提唱者が相互に相手を批判しつつも、協力の道を探った。
目次
第1部 私の対抗軸(「戦力」による人道法違反を裁く法体系を;自衛隊違憲論には立憲的意義がある;現行9条と自衛隊が共存する道を探る ほか)
第2部 公開討論会(立憲主義と自衛権をめぐって;日本が人道法違反を犯すことへの対処は;法律でできることと憲法改正が必要なこと ほか)
第3部 今後の課題(安倍加憲反対の豊かなバリエーションへ;団結する姿勢は改憲派に学べ;文民統制の機能不全 ほか)
著者等紹介
伊勢〓賢治[イセザキケンジ]
東京外国語大学教授。国連PKO武装解除部長などを歴任
伊藤真[イトウマコト]
伊藤塾塾長・弁護士・法学館法律事務所所長・法学館憲法研究所所長、日弁連憲法問題対策本部副本部長、九条の会世話人
松竹伸幸[マツタケノブユキ]
編集者・ジャーナリスト、「自衛隊を活かす会」事務局長、日本平和学会会員
山尾志桜里[ヤマオシオリ]
東京大学法学部卒、検察官を経て、衆議院議員。衆議院憲法審査会委員。立憲民主党憲法調査会事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sumiyuki
2
山尾氏、伊勢崎氏が良かった。ただ、集団安全保障において非武装の自衛隊や文民警察の派遣を実施すべし、との伊勢崎提案はカンボジアの件があるから同意する覚悟がつかない。「自衛隊を国際人道法に則った国内の法理で厳格に統制する」ことが、現状できていない。ゆえに、「ジブチの自衛隊を完全撤退させなければならない。『事故』は今この瞬間に起きるのだ」@(伊勢崎氏の新しい9条2項案)日本の領海領空領土内に限定した迎撃力を持つ。その行使は国際人道法に則った特別法で厳格に統制される。2018/11/07
愛希穂
0
後で2018/11/10
Kentarou Fujita
0
憲法の文言云々ではなく、国民のこの問題に対する理解度上がり、あるべき議論がどれだけなされるか、プロセスが重要。2018/09/15
淺野 昌規
0
以上、9条1項の保持で日本国の変わらない非戦の精神を不動のものとし、新しい9条2項としてこれを提示する。 【日本の領海領空領土内に限定した迎撃力(interception forces)を持つ。その行使は国際人道法に則った特別法で厳格に統制される。】(伊勢崎賢治 /p.173)2018/09/03
zikisuzuki
0
立憲主義がまず1つ目のキーワード。憲法は国を為政者を法で縛る為のもであるという事。たとえ有事であっても軍事力を人による統制でなく法による統制をしなくてはならない。国際法・憲章が二つ目のキーワード。交戦権を国際法で認めていないのに加憲案では安全保障法制とセットになることで国際法違反を破ってしまう危険性が高いという事。紛争地で国連職員として武装解除、新憲法制定に携わり、派遣自衛隊を直に見守って来た伊勢崎氏の意見が最も説得力があった。国際法を守らせる超国家的圧力が存在しないからこそ、日本は憲法で尊守するべきだ。2018/09/03