出版社内容情報
「メルヘン」(昔話)は古いけれど新しく、
これからおこる話でもあるのだ。
メルヘンはこれまで以上にますます、
人びとに好まれていくはずだ。
なぜなら、現実が厳しければ厳しいほど、
人びとのファンタジーが花開く場所は、
メルヘンの世界以外には残されていないからだ。
メルヘンは、生や死といった哲学的命題までも
簡単な表現で提示する。厳しい現実に哲学的命題
ともなると、メルヘンは大人のためのものとも
いえるのである。
物語をとおして子供は、自分が考えもしなかった
悩みや苦しみが存在することを知り、
同じ悩みを持つ仲間がいるのを発見する。
子供にとってこんなに勇気づけられることがあるだろうか。
わかりやすく子供たちに伝えていくこと、
それだけで魅力的なのだ。そして、つい先ほどまで子ども
だった大人もしかりである。
グリム童話でよく知られた作品といえば、
「赤ずきん」、「白雪姫」、「灰かぶり(シンデレラ)」、
「のばら姫(眠りの森の美女)」、「ヘンゼルとグレーテル」、
といった作品だ。
しかし、これら以外の作品で
あまり知られていなくても面白い話がたくさんある。
本書は、主にそうした作品を取りあげ、グリム童話を通して
メルヘン(昔話)の想像力の意味をさぐるものである。
第1章〈しあわせ〉のゆくえ
(1)「しあわせハンス」
(2)「漁師とその妻」
(3)「六人の家来」
第2章 兄と弟のはなし
(1)「命の水」
(2)「唄う骨」
第3章 愛と憎しみのかなた
(1)「お墓へはいったかわいそうなこぞう」
(2)「親不孝なむすこ」
第4章 かぎりないユーモア
(1)「ものぐさ三人兄弟」
(2)「おいしいおかゆ」
(3)「もの知り博士」
金成 陽一[カナリ ヨウイチ]
1948年生まれ。中央大学、跡見学園女子大学講師。
獨協大学外国語学部卒業。
日本大学大学院博士課程修了。
ポップカルチャー学会元会長。
主な著書には
『誰が「ねむり姫」を救ったか』、
『誰が「赤ずきん」を解放したか』、
『グリム童話のなかのぞっとする話』、
『誰が「白雪姫」を誘惑したか』、
『グリム童話のなかの呪われた話』、
『ドイツメルヘンのひそむ街で』(以上、大和書房)、
『エロチックメルヘン3000年』、『グリム残酷童話』
(以上、講談社)、
『「赤ずきん」はなぜ愛くるしいか』
(ハヤカワNF文庫)、『まだあるグリムの怖い話』
(東京堂出版)、『グリム童話のなかの愛と試練』
(弥生書房)等がある。
内容説明
メルヘンは、生や死といった哲学的命題までもかんたんな表現で提示する。物語をとおして子供たちは、考えもしなかった悩みや苦しみが存在することを知り、同じような悩みを持った仲間がいるのを発見する。子供にとってこれほど勇気づけられることがあるだろうか。わかりやすく子供たちに伝えること、それだけでも魅力的なのだ。グリム童話のなかでよく知られた作品といえば、「赤ずきん」「白雪姫」「灰かぶり(シンデレラ)」「のばら姫(眠りの森の美女)」「ヘンゼルとグレーテル」ということになるだろう。これら以外の作品でも、世に知られていなくて面白い話がたくさんある。本書ではそうした作品を取りあげる。
目次
第1章 “しあわせ”のゆくえ(しあわせのパラドックス―「しあわせハンス」;欲望の岸辺―「漁師とその妻」;奇妙な結末―「六人の家来」)
第2章 兄と弟のはなし(恩寵への旅―「命の水」;怨讐の旋律―「唄う骨」)
第3章 愛と憎しみのかなた(小さな悪の物語―「お墓へはいったかわいそうなこぞう」;仮面の素顔―「親不孝なむすこ」)
第4章 かぎりなきユーモア(「逆もまた真」なり―「ものぐさ三人兄弟」;ありあまる糧の話―「おいしいおかゆ」;博学の意味―「もの知り博士」)
著者等紹介
金成陽一[カナリヨウイチ]
1948年生まれ。中央大学、跡見学園女子大学講師。獨協大学外国語学部卒業。日本大学大学院博士課程修了。ポップカルチャー学会元会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山猫
ふじこ
かず1号
かじろう
ジュリ
-
- 和書
- 茶の湯の科学入門