出版社内容情報
慰安婦の身体は男性のモノであった。
慰安婦との性交は、
男性たちによって、軍隊の通過儀礼として、武勇伝として、
ノスタルジーの対象として語られてきたのではないか。
「問題」は慰安婦にあるのではない。
にもかかわらず、「問題」化されることによって、
身体を蹂躙された慰安婦に責任があるかのような印象を与え、
「問題」の原因が彼女らにあるかのような
錯覚と欲望に囚われている人びとがいる。
「慰安婦問題」として語られることによって生じてきた彼女らへの
侮蔑や美化、「問題」の始まりから現在に至るまでの経緯を、
女性で初めて石橋湛山賞を受賞した学者が
独自の視点と聞き取り、テクストのユニークな分析、
女性研究者としての30年余の体験を通してあらわにする。