出版社内容情報
地球の衛星軌道上に浮かぶ博物館惑星に赴任した新人自警団員・兵頭健の奮闘を描く、名作『永遠の森 博物館惑星』19年ぶりの続篇
内容説明
地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館“アフロディーテ”。そこには全世界の美術品や動植物が収められ、データベース・コンピュータに直接接続した学芸員たちが、美の追究に勤しんでいた。そんな博物館惑星に赴任したばかりの新人自警団員・兵藤健は、インタラクティブ・アートの展示管理や、「不見の月」なる絵画の盗難にまつわる謎など、さまざまな事件に対処するが―『永遠の森』に続く“博物館惑星”シリーズ第2作。星雲賞受賞。
著者等紹介
菅浩江[スガヒロエ]
1963年京都府生まれ。高校在学中の1981年、“SF宝石”誌に短篇「ブルー・フライト」を発表して作家デビュー。数年のブランクの後、1989年の第1長篇『ゆらぎの森のシエラ』で活動再開。以来、人間の普遍的な感情をこまやかな筆致で描いたSF、幻想小説で人気を集める。とくに『永遠の森 博物館惑星』(以下、ハヤカワ文庫JA)は、「ベストSF2000」国内篇第1位、星雲賞、日本推理作家協会賞と、ジャンルの枠を超えて高い評価を得た。続くシリーズ第2作である『不見の月―博物館惑星2』の表題作で星雲賞日本短編部門を、第3作『歓喜の歌―博物館惑星3』で日本SF大賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mumiu
26
博物館惑星シリーズ二巻目。兵藤健は博物館惑星に配属された、新人「警備員」だった。しかしただの警備員ではない。彼も前回の主人公学芸員の田代孝弘と同様、膨大なデータベースシステムと直接接続している。博物館だけど警備員ということは「真実はいつもひとつ!」風味多めなのだろうか。同期の学芸員、尚美・シャハムとはげしくボケツッコミを交わしながら、さまざまなエピソードに関わっていく。2021/04/15
ひさか
22
2019年4月早川書房刊。2021年4月ハヤカワJA文庫化。シリーズ2作目。第51回 2020年星雲賞受賞。黒い四角形、お開きはまだ、手回しオルガン、オパールと詐欺師、白鳥広場にて、不見の月、の6つの連作短編。博物館惑星の警備員の事件記録。警備員はAIに直接接続されていて、AIのサポートを受けるのだが、結局は人間的な問題の事件で、人間的な解決が行われる。AIは、人間らしいところがあり、狂言回し的な役割もする。不見と書いてみずと読ませるのが楽しい。2021/07/03
かとめくん
19
永遠の森の続編。前作から時間がたったことで、主人公も代変わりしてはいますが、博物館惑星の基本設定はそのまま。学芸員や警備組織のデータベース接続はバージョンアップして、AI的要素が強くなっています。個人的にはルーブルのバカでかいやつという感じなのですが、実際はもっと幅広く展示会施設だったり、販売会場だったり、お祭り広場だったりします。各話に出てくるテーマは新しいものが多く、新素材が芸術になりえるのかという話もあり、芸術による感動とはどういうことなのかを問いかけてきます。2022/09/30
そうぺい
18
初読。シリーズ2。1を読んだのは大分〜前だったので、こんな雰囲気だったかな?とかイメージやったっけとカンを取り戻すのに一苦労…だがただ面白い!とは違うじわじわとした時間。解説を読むと前作はもっとスピード感があったそうで今作の人間とAI、人間と人間との緩やかなスタートの話では無かったんでしょう。発掘要。人間とAIの両方が未成熟という設定、美術のAI接続警備員という設定は秀逸。戦闘的なアートガーディアンとは二重の意味での美の守護者になっている。物語は始まったばかりで、今作だけの感想は難しいと逃げ笑笑 以下続2021/06/10
ふりや
16
地球の軌道上に浮かび、全世界の美術品や動植物が収められた博物館惑星・アフロディーテ。本作の主人公は新人警備員の兵藤、そして彼をサポートするAIのダイク。兵藤のもとに様々なトラブルが発生し、その解決の過程で問いかけられる「美とは何か」という命題。収録された6作品どれも優しい雰囲気の物語で、読んでいてとても気持ち良いです。前作の主人公の田代やネネ、さらに前作の大トリで大活躍した「あの人」が登場するのも嬉しいところ。兵藤と同期の尚美がいがみ合いながらも仲を深めていく様子もとても好き。続けて第3部も読みます。2021/04/18