内容説明
90年代のあの人気映画を男性ジェンダーの視点で、読み解き、ポスト・フェミニズム時代の男性像とその行方を探る。
目次
ポスト・フェミニズム時代の男性像
第1部 女は軍人、男はカウンセラー(マスキュリズムと男性差別―男性映画としての『G.I.ジェーン』;パワーに依存しない男性の創造―『グッド・ウィル・ハンティング』)
第2部 男を求める男たち(同性愛恐怖が引き起こした殺人劇―『アメリカン・ビューティー』;同一化の憧憬と同性愛的表象―『リプリー』;「男」になるためのイニシエーション―『ファイト・クラブ』;身体描写をとおして描くマチズモの挫折の物語―『アメリカン・ヒストリーX』)
第3部 見られる男、見つめる女(記号としての「男性裸身」とそれをめぐる視線―『ハート・オブ・ウーマン』を中心に;女性性の表出と女性性からの脱却―『トゥルーマン・ショー』;生殖なき時代のマスキュリニティ―『マトリックス』が描く男性表象)
九本の映画から見えてくるもの
著者等紹介
國友万裕[クニトモカズヒロ]
1964年生まれ。同志社大学・龍谷大学・京都女子大学・京都外国語大学・京都外国語専門学校(英語)非常勤講師。専門は、アメリカ映画・文学・ジェンダー。所属学会:新英米文学会、日本映画学会、日本比較文化学会、日本ジェンダー学会(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
10
ハリウッド映画を男性学の研究知見から分析した論考。アメリカの男性運動の潮流を抑えた上で、映画における男性性について考察している。肉体的なマッチョを誇るのが伝統的なハリウッド映画の描く男らしさとなるが、肉体的な強さを活かすことが求められる産業が衰退を遂げ、サービス産業が優勢になると、男にも女性的な感情表現が求められるようになる。その変化を描いた作品が『トゥルーマン・ショー』だという。また、『グッド・ウィル・ハンティング』も男性がパワーよりも親密さを志向する物語だという。映画好きの方にオススメ。2022/05/22
ひるお
1
『グッド・ウィル・ハンティング』『ファイト・クラブ』『トゥルーマン・ショー』『マトリックス』など、90年代のハリウッド映画を男性学の視点から読み解き、ポスト・フェミニズム時代の男性像の行方を探る一冊。どの映画のキャラクターも、父性を掴めないことや父親との関係が原因で問題を抱えており、“男性性”構築の上での父性の重要さを感じさせる。一方で、本書はあくまで90年代の映画の分析であり、現在の状況にはそぐわない記述も多い。フロイト的な男女二元論も目立ち、事実誤認もあるため、注意しながら読む必要がある。2019/04/18
不動 明
1
今回この本を読むに当たって嘗て観た映画やDVDで購入している映画以外は全てレンタルして観ました。大変面白かったです。順序としては最初に映画を観て自分の中でのその映画の感想や感慨を思い留めてから各映画分析を読むと「そういう解釈か〜」と感心したり、「自分はあそこは違う思想を反映しているとも思う…」等と感じたり考えたりして読書が立体化されて面白かったです。こういった本から今まで触手が延びなかったジャンルのDVDや映画を観る事が出来て今回は優越した読書を楽しめました♪2012/05/13
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