内容説明
世界的ドキュメンタリスト・小川紳介らが三里塚の農民に寄り添いながら写し撮ったドキュメンタリー映画『日本解放戦線 三里塚の夏』。この傑作は、現在もなお戦後日本の光と影をあざやかに浮びあがらせる。「三里塚闘争」を通じて、いまも続く「地方」対「中央」の非対称な関係を見つめ直す。
目次
第1部 『三里塚の夏』を観る(座談会 過去と現在と未来の迷宮へ―『日本解放戦線 三里塚の夏』を読み解く(大津幸四郎;山根貞男;筒井武文)
学生運動から三里塚闘争へ
農民を撮る
地表からの視線
無為の時間の量から
農民の貌への接近
運動に加担する
闘いの流儀
風土が開放する
大津カメラマン逮捕
過去・現在・未来の重層)
第2部 『三里塚の夏』を読む(『日本解放戦線 三里塚の夏』が作られた時代―小川紳介、三里塚に向かう;闘う農民像の系譜;『日本解放戦線 三里塚の夏』採録シナリオ;年表で読む三里塚闘争と小川プロダクション)
加担と共苦―『日本解放戦線 三里塚の夏』を俯瞰する
著者等紹介
鈴木一誌[スズキヒトシ]
1950年生まれ。ブックデザイナー。映画・写真批評も手がける。81年、映画批評で第一回ダゲレオ出版評論賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
garth
14
「成田空港をつくることが、ひとの命までかけてやるようなことでいいのか。われわれの空港反対運動ってなんだろうというところに、もう一回もどってくるわけですよ。「生きていこう」という運動なのに、ひとが死んでいく。農業を守る運動のなかで、ひとの生き死にがかかっちゃうということが、ひとつの大きな矛盾じゃないですか」2016/06/01
芋煮うどん
1
これを一読してから、映画をみるのがオススメ。現代のワカイヒトたちに三里塚闘争なんて、説明してもわかるはずないから。2012/08/27
Natsuhiko Shimanouchi
0
久しぶりに「三里塚の夏」見直したけど、こんなに純粋に映画として面白かったとは!三里塚に入ったばかりの撮影班の未整理なままの状況認識をそのままぶつけるような不親切な編集。それを補うカメラマン大津さんの解説(書籍本文)も興味深く面白い。まず映画を見て本を読み、再び映画という見方をお勧め。撮影が進むにつれての反対同盟との距離感の変化。抗議を込めて遠慮なくアップされる機動隊員の顔。青年行動隊の苦悩、おっかあ達のたくましさ。見どころ満載。本を読む前に映画2回続けて見たくらい面白かった。 2013/10/27