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内容説明
芸大に通う仁科幸は、詩人を夢見ながらも思い通りの評価を得られず進路に悩んでいた。そんな仁科の前に、留学帰りの同級生、広尾柾史が現れる。行動的で率直、自分と正反対の広尾を敬遠していた仁科だったが、仁科の詩を認め、詩に真剣に向き合わせてくれた彼の存在に尊敬を募らせていった。だがある夜、仁科は突然広尾に抱かれてしまう。その行為は仁科の中に嫌悪ではなく、広尾への愛と渇望を目覚めさせ…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みずほ
22
小説★★★☆☆ 挿絵★★★★☆ 芸大生同士。同学年で2歳年上攻。仁科の気持ちはすごく理解できた。初めての恋に溺れ、詩作も勉強も手につかなくなる程自分を見失ってしまう。透明感のある汚れのない詩を作る仁科の繊細さを見抜けなかった広尾がやはり悪い。仁科が好きなのか、仁科の詩が好きなのか、よくわからない男だった。どんな理由があれ、受を捨てる攻はそれだけでNGだわ。一度捨てられたトラウマで、仁科がビクビクして、対等感のないところが引っ掛かった。ひのもとさんの攻は、多かれ少なかれいつも酷い攻だなあ(笑) Pは島村視点2012/02/17
天使を愛するアカウント
20
留学帰りの同級生・広尾×詩人を夢みる芸大生・仁科。ひのもとさんの作品はどの作品のどのキャラも、ホントにダメだなぁってトコがこれでもか!ってくらい描写されてる印象。でもそれが私にはすごくリアルに感じて結構好きなんですよねぇ。今回も、どっちもどっちにダメな子たちで、攻は傲慢だわ言葉足りないわ、受は恋に溺れて破綻しちゃう弱い子。でもそういう人もいるよな~と。広尾が惚れるきっかけになったという仁科の詩をもっと具体的に!ってとこは物足りなかったな。ペーパーは島村教授視点。ある意味今作は彼視点=私視点だった気がするw2012/02/24
ムック
18
どうしよう…攻めにも受けにも共感出来ない、特に広尾が受け付けないわ~。傲慢だし自分の価値観を押し付けるしそれでもってフォローが遅すぎるよ。まあ仁科があんな性格だからオラオラ系の広尾がちょうどいいのかな、これからの二人の行く末がちょっと心配だが…島村先生が唯一好きなキャラだった。2012/03/01
黎
12
メールの場面があるが10年前でも20年前でも、30年前に舞台を移してさえ成立するお話だと思う。作者が後書で述べられている「文学を志す学生特有の、青くささや繊細さ」は若者の純粋なドロップアウト(レールを外れて自力で歩くだけの才能を持つという)の夢として現在ではやや陳腐なものでもあるが、だからこそ普遍なテーマを扱うオーソドックスさを感じる。そこに作者の物堅さや真摯さを感じ好感を持った。強引で身勝手な攻広尾は、実は作者の視点である年長者島村から見れば若さのノスタルジーではないのか。ペーパーが作品の本質であろう。2012/02/23
きょん
11
う~ん大学生同士だとこんなにも青いもんなんですかね。内向的芸術家の受けが初めての恋にのめり込んで我を忘れるところは分かる。しかし、社会性も受けよりありそうで、評論や研究という芸術をある意味距離を置いてみる必要がある立場を目指している攻めが説得なしの拒絶という態度を取るのは如何なものか。留学だって、何が必要か、何年もかけて準備してる自分と同列に扱う必要がどこにあるのか。おまえにパトロンは無理じゃ~!と思ってしまった。ひのもとさんのダメ男は結構好きなんだけど、今回はちょっと無理だったなあ。2012/03/22