内容説明
発見と出会いの日々、同宿の女子学生と卓球に興じる文豪…滞英中の漱石と、周辺の人と時代を鮮やかに描写。書物に取り憑かれた英文学者が、日本近代文学の黎明期、ロンドンに渡った若き漱石と芸術家たちの足跡、交遊を辿る。さらに出版史の泰斗として知られる著者ならではの古書店巡り、貴重な文献の発見と明らかになる新たな事実。本、文学、絵画愛好家には垂涎のエッセイ!!
目次
第1章 漱石あれこれ(グルーズの絵と漱石;漱石とスティーヴンソン ほか)
第2章 漱石と同時代の人々(漱石と牧野義雄;ロンドンの日本人画家―原撫松のことなど ほか)
第3章 イギリスあれこれ(酒飲みの国イギリス;ヴィヴィアン・グリーン ほか)
第4章 オックスフォードその他(ボドリアン・ライブラリーの昨今;ジョン・ジョンソン・コレクションのこと ほか)
著者等紹介
清水一嘉[シミズカズヨシ]
1938年神戸市生まれ。東北大学文学部卒業。同大学文学研究科修士課程修了。愛知大学名誉教授。専攻は英文学、英国文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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timeturner
6
漱石の日記の1行から、当時のイギリスでのピンポン熱について調べ、英国巡業で名を馳せた柔道家・谷幸雄について探る。大英図書館やボドリアンで見つけた資料をもとに、英国滞在時の漱石と、関係のあった人々や事物に新たな光を投げかけるエッセイ集。2019/03/03
志村真幸
1
『図書』を中心に、朝日新聞、『柔道』『FOCUS』『国文学』『英文会誌』に発表された18篇が収められている。 19世紀末~20世紀初頭にロンドンに滞在した日本人について調査・発掘したもの。 漱石については、義弟の鈴木禎次、下宿したブレット家のこと、ピンポンをしていたことなど。新発見の事実もふくまれており興味深い。 牧野義雄についても何篇か。柔道家のユキオ・タニのイギリスでの事績を追った文章は貴重。 そのほか、ボドリアン・ライブラリー、本の盗難、ブック・フェアなど、イギリスの図書館や本についても。2019/04/21