出版社内容情報
コスミック時代文庫
内容説明
「どんな人物にも成りきれる腕を見込んで隠密廻同心に取り立てたい」―小芝居の元役者、鯉川銀次郎の目の前に突如現れたのは、なんと南町奉行・遠山左衛門尉であった。まさに青天の霹靂である。なにしろ銀次郎は、弟分の京四郎と組んで人を騙し、稼ぎを得ていた小悪党であったが、遠山はそれを知りながら罰することなく、手下にしたいというのだ。銀次郎は元々、役者として演技が器用で、二枚目から悪役、女形まで、どんな役でもこなせた。今日から直参御家人としてその得意技を活かせるのか―驚きを隠せない銀次郎であったが、この直後、さらに信じられない人物に御目見えすることになるのだった!波乱万丈の若侍が、世を揺るがす密命を帯びて暗躍する気鋭の新シリーズ、いざ開幕!!
著者等紹介
伊丹完[イタミカン]
2023年、現在まで人気シリーズとして続く『大江戸秘密指令 隠密長屋の十人』(二見時代小説文庫)の上梓で一躍、新進気鋭の時代小説家となる。江戸の文化のほか、映画や演劇、落語やミステリーにも造詣が深い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マカロニ マカロン
16
個人の感想です:A-。天保年間、大名家江戸詰の勘定方だった父親が殺され、一人暮らしの浪人になった15歳の橋倉新之助は亀戸天神裏の芝居小屋の座長に拾われた。綱紀粛正・奢侈禁止で芝居小屋が廃業し、イケメン役者の京四郎と組んで詐欺稼業を始めた。やがて南町の遠山奉行の元で隠密役に抜擢された。11代家斉、12代家慶の代替わり頃の天保の改革が江戸庶民に大きな影を落とすのが窺える。鳥居耀蔵、中野碩翁らに加え現代にもはびこる悪徳宗教などの悪役も勢揃い。新之助は隠密銀次郎となったが、彼の父の殺害の謎は未解決で続編を期待2025/05/14