内容説明
ちぢれ毛の髷に冴えない風貌―北町奉行所同心・亀無剣之介は、陰で『ちぢれすっぽん』とあだ名され、奉行所内だけでなく、市井の町民にも侮られていた。しかし、しょぼくれた見かけの裏には、難事件を解き明かす天才的な頭脳と、下手人をとことん追いつめる執念、そして奉行所内でも一、二を争う剣の腕前を隠し持っていた。年明けも近い晩冬の江戸。禅寺の崩れかけた鐘つき堂で、大店の女主人が鐘の下敷きになって亡くなった。女の死に不可解な疑問を抱いた剣之介は、寺の住職・名僧の雪元を疑う。しかし雪元には、犯行時刻に別の場所にいたという、たしかな証言があった…。シリーズの屈指の名作『首切りの鐘』収録の、新装版・第二弾!
著者等紹介
風野真知雄[カゼノマチオ]
1951年、福島県生まれ。93年『黒牛と妖怪』で第一七回歴史文学賞を受賞。時代・歴史・ミステリなど、多岐の分野で活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
45
苦笑)私は「亀ちゃん」と言うのに弱いのよねぇ。この作品もそうですが、犯罪って普通の人でもちょっとした躓きでヤバい事になってしまうのです。殺人なんてものは余程のことが無けりゃ起こらないはずですが・・ものの弾みって事もある。一番ワルいのはお金をバラまいて証言させないこと。最後の同心が犯人だったのは・・これまたやむにやまれぬ義理人情が絡んだ事。今の殺人は自分を甘やかして、大勢の何の落ち度もない他人さんを「殺してみたかった」とか「死刑になりたかったから」と。甘えんじゃねぇ!2022/09/17
オーウェン
41
シリーズ第2弾。 欲にまみれた坊主や力士。 怠慢な若旦那に、剣之介と同じ同心が今作の相手。 どの人物も姑息に策略をするが、そこを剣之介はしっかりと看破していく様が痛快。 4話の「最悪の同心」は同じ仲間が犯した罪だが、剣の達人でもある。 だからこそ罪を認めても、剣によって逃れようとする輩に、剣之介は裁きを下すのだ。2023/04/30