内容説明
物理学者でありながら、作家の道へ、作家でありながら、書くことを拒否する「バートルビー」の仲間へ―。書かないことで名声を確固たるものにしたアルゼンチンの作家、エルネスト・サバトの、アクチュアルな文学論。
目次
幾つかの疑問
小説における思想
国民文学について
心理小説と社会小説
作家と旅行
作家の根本的問題
小説の技法
芸術家たるに最も重要な条件
全体小説
小説と現代という時代〔ほか〕
著者等紹介
サバト,エルネスト[サバト,エルネスト][Sabato,Ernesto]
1911年生まれ。アルゼンチンのブエノス・アイレス州ロハスといういなか町で、製粉所を営むイタリア系の両親のもとに生まれる。町へ出て中学に入り、数学に熱中する一方、文学にも親しみ、アナキズム思想に親近感を抱く。物理学の勉学に励み始めた大学生のこと、アルゼンチンのアナキズム運動は弾圧によって壊滅し、親友の誘いもあってサバトは共産党に入党した。国際会議に出て、ソ連のスターリン独裁体制やドグマ化したマルクス主義に失望し、科学の世界に没頭した。奨学金を得て、大戦前夜のパリで、キューリー研究所にあて放射線研究に従事する一方、シュルレアリストたちと交友。帰国後は大学で量子論・相対性原理を教えるかたわら、文学同人誌にエッセイを書き始めた。最初の創作『トンネル』(1948)は国内でも評価を得たが、カミュが絶賛して仏訳され、国際的な評価も高かった。その後に執筆した小説は『英雄たちと墓』(1961)と『根絶者アバドン』(1974)の2作に限られ、著作の多くは、文学、哲学、科学、政治、芸術などを幅広く論じたエッセイ集である
寺尾隆吉[テラオリュウキチ]
1971年名古屋生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。メキシコのコレヒオ・デ・メヒコ大学院大学、コロンビアのカロ・イ・クエルボ研究所とアンデス大学、ベネズエラのロス・アンデス大学メリダ校など6年間にわたって、ラテンアメリカ各地で文学研究に従事。政治過程と文学創作の関係が中心テーマ。現在、フェリス女学院大学国際交流学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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