出版社内容情報
初版は1968年に出版されました。しかしその後,今日に至るまで本書を越える,いやかなり迫るような教育史の本はついにあらわれていません。それほど,本書の内容は卓越していたのです。「年表」をぱらぱらとめくっていくだけでも,たとえば「理科の授業中に教科書を使ってはいけない時代があった」ということを発見して驚くでしょう。また「理科離れ」というのが今にはじまったことでなく,何度も何度も叫ばれてきたことを発見して驚く人もいるでしょう。
この本は,書名に「理科教育史」と書かれています。しかし,じつは,「日本で最初の,信頼できる教育史」なのです。だから,教育に深い関心をいだいているすべての人にとって,なくてはならない道しるべとなるでしょう。
★圧倒的にくわしく,役立つ「教育史年表」。待望の「戦後編」を増補
旧版では1965年まで,しかも1945年以後は簡略化されていました。今回,全体的に改訂しただけでなく現代部分を大きく増補しました。
序 総説
第1編 日本における科学教育の成立
1.幕末・明治初年における科学技術の教育機関
2.小学校における科学教育の発足
3.科学技術の専門教育機関の確立
4.小学校における科学教育の具体化
第2編 理科教育の成立と展開
5.「理科」教育の制度化とその定着
6.「理科の要旨」と「理科」教育の確立
7.国定『小学理科書』の成立とその内容
8.理科教育改革運動と自由主義教育運動
9.教学刷新運動下の科学教育
10.戦時下における理科教育の改革 11.教育民主化と生活単元・問題解決学習
付Ⅰ 理科教育史を調べる人のための文献案内
付Ⅱ 年表
目次
総説
第1編 日本における科学教育の成立(幕末・明治初年における科学技術の教育機関;小学校における科学教育の発足;科学技術の専門教育機関の確立;小学校における科学教育の具体化)
第2編 理科教育の成立と展開―義務教育を中心に(「理科」教育の制度化とその定着;「理科の要旨」と「理科」教育の確立;国定『小学理科書』の成立とその内容;理科教育改革運動と自由主義教育運動;教学刷新運動下の科学教育 ほか)
その後の日本理科教育史の研究―“科学の本格的な教育”の重要性に関する長い“(増補版)あとがき”
付1 理科教育史を調べるための文献案内
付2 年表
著者等紹介
板倉聖宣[イタクラキヨノブ]
1930年5月2日、東京都下谷区(現、台東区東上野)に生まれる。1953年3月、東京大学教養学部教養学科(科学史科学哲学分科)卒業。在学中に「“社会の科学”をも含めてすべての科学的認識は仮説にもとづく実験によってのみ成立する」という認識論を確立。サークル機関誌『科学と方法』を創刊して、誤謬論を中心とした認識論の組織的な研究を始める。1958年9月、東京大学大学院数物系研究科博士課程を修了、物理学史の研究によって理学博士となる。1959年4月、国立教育研究所(現、国立教育政策研究所)に勤務。1963年8月、仮説実験授業を提唱。仮説実験授業研究会を組織して会代表。1973年3月、遠山啓氏らと教育雑誌『ひと』(太郎次郎社)を創刊。研究領域を授業科学全般、“社会の科学”の研究と教育にも拡げる。1983年4月、月刊『たのしい授業』(仮説社)を創刊。その編集代表となる。1995年3月、国立教育研究所を定年退職、同研究所名誉所員。東京・高田馬場に「(私立)板倉研究室」を設立し、科学(自然・社会)と教育の研究に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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