内容説明
近代以降、最も重要な詩人ヘルダーリンの全貌を不世出の名訳でおくる決定版全集。本巻には、詩と哲学のもっとも深遠な融合、孤高の名作として誉れ高い小説『ヒュペーリオン』、未完であるがゆえに、壮絶な輝きを放つ悲劇『エムペドクレスの死』を収録。
目次
ヒュペーリオン(ヒュペーリオン;タリーア断片;ヒュペーリオン草稿断片;韻文稿;ヒュペーリオンの青年時代)
エムペドクレス(エムペドクレスの死・第一稿;エムペドクレスの死・第二稿;エムペドクレスの死・第三稿;エムペドクレスの死・構想と草稿)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
13
「自然に帰れ」とドイツの詩人がいうときの自然は、ルソーの自然ともちがう。春の訪れとともに死から再生を繰り返す有機的生命。超越的精神が俗世に現われる姿。永遠の若さ。しかし、人類は年老いた。若さに満ちあふれた古代人はすでに遠い。宗教が否定されつつある時代に、超越的なものはは古代人の自然・神への愛を理解した詩人の内面に追放された。詩人の世界は内と外に分裂し、葛藤が彼を悩ます。だが自然は女性の姿を介して孤独な詩人を訪れる。女性は自然に仕える司祭であり、自然回帰の回路を開いてくれる。死んだ教養は恋によって再生する。2021/02/26
泉のエクセリオン
1
詩人の代表作、哲学書簡小説「ヒュペーリオン」と悲劇「エムペドクレス」その他それぞれの未完の草稿を収録。 詩人のズゼッテ・ゴンタルトとの恋愛は「ヒュペーリオン」を現在の、詩、哲学、教養小説が融合した至高の物語へ導きました。ディオティーマとの出会い、お互いの魂が深いところで結びつく様子。若い力をギリシャ独立戦争に捧げるが、仲間の乱暴狼藉によって幻滅、挫折して自分の運命を悟る様子。また終盤でのディオティーマとの再会は、スピノザの汎神論と見事の融合して、さらに永劫回帰の思想へと昇華する。本当に美しい内容である。2016/02/21
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