内容説明
高次脳機能障害の当事者と臨床心理士による対談を、日本臨床心理士会の協力を得て書籍化。中途で障害を負うということについて語り、支援の在り方を問う。日々の生活において症状がどのような現れ方をするのかが当事者感覚をもって具体的に語られ、さまざまなエピソードには、神経心理学の視点からの解説も加えられる。目に見えない障害とも言われる高次脳機能障害の症状と、そこから生じる日々の生活上の困り感や心理的反応について、周囲の人が理解する手助けとなるよう構成されている。
目次
1 発病前の生活の様子
2 発病
3 入院中の様子
4 退院後に気付いたこと
5 対応にたどり着く
6 環境調整
7 中途で障害を負うとは
8 臨床心理士に望むこと
著者等紹介
鈴木大介[スズキダイスケ]
文筆業。1973年千葉県生まれ。子供や女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をするルポライターだったが、2015年(41歳)で脳梗塞を発症して高次脳機能障害当事者に。その後は高次脳機能障害者としての自身を取材した闘病記を出版
山口加代子[ヤマグチカヨコ]
大学卒業後、横浜市中央児童相談所に心理判定員として入職。横浜市衛生局心理相談員を経て、平成3年横浜市総合リハビリテーションセンターに臨床心理士として入職。平成31年同退職。現在、中央大学大学院講師。リハビリテーション心理職会顧問。日本高次脳機能障害友の会顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くさてる
17
高次脳機能障害の当事者であるルポライターとリハビリテーションセンターで多くの患者を支援してきた臨床心理士にとる対談。当事者ならでは、というか問題をより明確に言語化できる能力を持った当事者の視点で語られる障害の現状は、生々しく、人間にとっての「脳」の意味も考えさせられる。そしてもっと身近に、日常的なレベルでの困り感のリアルさを知ることができて良かったです。2021/06/16
renren
6
高次脳機能障害についてここまで明確に自己の状況や時間的変容のありさま、望まれた支援について言語化したものはなかなかないと思う。というのも受傷前後の記憶自体が飛んでいたり、その観察分析言語化の機能そのものに損傷が生じル病態なので。感情失禁前後の自覚など、自己防衛で目を背けがち隠しがちなところもあらわにかかれていて参考になる。発達障害との類似性も。この本は手元に置きたいかも。2021/01/20
ぐら
5
高次脳機能障害について実際に当事者はどのように体験しているのだろう、と知りたくて。そして、まさに実際が知れる貴重な本でした。本書は40代で脳卒中を発症したルポライター鈴木さんとリバビリテーションセンターで高次脳の患者さん・家族の支援をしてきた山口心理士との対談本です。 回復期退院後の日常生活がいかに、どのように大変なのか、ということがわかりやすく描かれている。読んでいると何もかも辛いじゃないか!私は何もわかってなかったな…という気分になってくる。支援者にも家族にも当事者にもおすすめの一冊。2024/08/15
まこ
5
私と同じ注意障害の鈴木さん 感情が大きくなりすぎ、感情のフラッシュバックとか。 納得すること多いです。 ぜひ、支援者の方にオススメします。2021/04/29
あすとまぴ
4
とてつもなく腑に落ちる本を見つけた 今まで悩んでたことが少し落ち着いた気がする 高次脳機能障害のことを多くの人に知って欲しい 2020/10/28