出版社内容情報
診断によって割り切ってしまうことへの反省を携えながらともに繋がりあって生きることを目指してきた児童精神科医の中間報告。
内容説明
彗星のように登場した「軽度発達障害」という言葉は、これまで見過ごされてきた子どもたちの「生きづらさ」を浮かび上がらせ、そして今はもう使われなくなった。本書は、そのあいまいで気づかれにくく、しかしだからこそ深刻な「生きづらさ」が表面化した時代に、一人ひとりの子どもたちの内面ににじり寄る想像力と、障害の可能な限りの実証的解明を礎としながらも、視野を広げ、安易な医療化と対処法による割り切りへの反省を携えながら実践を積み重ねてきた児童精神科医の中間報告である。発達障害を持つ子どもたちと養育者が紡ぐさまざまな物語を読み解きながら、冷静な診断を目指す知と、生活の場で連携し全人的に繋がりあって生きる社会への情熱を重ね合わせ、子どもたちの希望を支える。教育・福祉と児童精神医学の一つの挑戦。
目次
生きづらさをもって生きる
第1部 認めあう(軽度発達障害の医療的課題;精神遅滞にもっと光を ほか)
第2部 見渡す(マルトリートメント;いじめと自殺 ほか)
第3部 支えあう(ADHDのある子どもと養育者の生きづらさ;ADHDのある子どもたちの、誤解されやすい言動と傷つきやすい心 ほか)
第4部 繋がりあう(健診と療育の連携;児童自立支援施設にある課題と解決の糸口 ほか)
発達障害のある子どもたちとともに生きる
著者等紹介
田中康雄[タナカヤスオ]
1977年獨協医科大学医学部入学。1983年獨協医科大学医学部卒業。1983年旭川医科大学精神科神経科医員。1985年市立士別総合病院精神科神経科医員。1987年旭川医科大学附属病院精神科神経科助手。1988年市立士別総合病院精神科神経科医長。1992年北海道立緑ヶ丘病院医長。2002年国立精神・神経センター精神保健研究所児童・思春期精神保健部児童期精神保健研究室長。2004年北海道大学大学院教育学研究科教員臨床講座教授。2006年北海道大学大学院教育学研究科附属子ども発達臨床研究センター教授。2008年北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。