内容説明
本書は、中米を舞台にくりひろげられた「土地と人々のふれあい」を追った地誌である。中米には、さまざまな目的をもつ人々が去来した。航海家、征服者(コンキスタドーレス)、海賊、事業家、空想家;山師、戦略家など、とりどりの面相があった。スペイン、イギリス、スコットランド、フランス、アメリカと欧米諸国の働きかけもあった。ここは常にゲオポリテック上の焦点であった。これら外域からの人々や国家は、ここでどんな体験をしたのか。その行動は、過去、現在、未来の中米の地域性にどう結びつくのか。それらはどのような、期待どおりの、あるいはそれとは裏腹の結果をうんだのか。この地をふるさととした人々は、どのような影響を受け、どう自らの活路を切り開いてきたのか。異邦人は住民を酷使し、資源を収奪し、地味を奪い、この地の為政者の地位や運命を左右し、大衆に大きな犠牲を強いてきた。中米は、世界各地の人々や国家が自らの欲望や構想を満たすための場所として利用されてきた。本書のタイトルの「中米の世界史」という言葉に、こうした世界史上における通廊としての中米の地域性を託している。
目次
1 先住民の生活舞台
2 新大陸発見者の渡来
3 スペイン征服者の侵略
4 スペイン領アメリカ植民地の諸相
5 世界の広がりのなかで
6 欧米の働きかけ
7 国際商業体系の一環
8 活路を求めて