内容説明
若いころに読んだ科学史の本の中に、研究は時代の流れの中で成り立ってきたという主旨の文章があり、深く共感したことを覚えている。著者自身に当てはめてみると、ダム建設と水温の問題に始まり、38.1豪雪をきっかけにした雪の調査、水環境問題の初期から多分野の方々と行ってきた湖沼水温や水収支、東京都の依頼が引き金になった都市水文、1990年代からはGISを取り込んだ温暖化や酸性化の問題など、時代とともに流され生かされてきた感が深い。このような仕事の中で、常に頭の中にあったのは熱収支と水収支である。著者は『日本の水』(1980年)の中で、「気候は水の母」と書いた。本書も、この考え方でまとめた。中には水だけを扱った章もあるが、全体として「気候‐土地‐水」という流れを汲みとってもらいたい。
目次
第1章 熱収支・水収支研究の展開
第2章 地球規模でみた熱収支と水収支
第3章 熱収支観測と解析の基礎
第4章 水収支観測と解析の基礎
第5章 湖沼・貯水池の水温と熱収支
第6章 河川水温
第7章 地温と地下水温
第8章 積雪・融雪の水文学
第9章 流域の水収支
第10章 都市水文の諸相
第11章 温暖化と酸性化
著者等紹介
新井正[アライタダシ]
立正大学地球環境科学部教授。理学博士。技術士。1935年東京生まれ。東京教育大学(現筑波大学)理学部地学科地理学専攻卒。水文気候学、陸水学が専門
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