感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はち
4
実質全歌集だな。存命であれば間も無く80歳。この時代であればまだ歌壇にいたであろう人。年配の方から時折話を聞くが、やはり伝説的な人だ。相聞の達人という印象が強く、『羊雲離散』は少し甘すぎる気もする。結果的に遺歌集となった『黄金記憶』では聖書的要素や自らの疎開体験を詠んだ歌が登場する。存命であればどのような歌を詠んだのだろうか。2016/06/24
空虚
0
ある速度をもって投げかけられる句、瞬間の一撃。「日常会話の一節すら完結しがたい」間延びした世界、を「言いおえる」、方法。2014/07/30
とぐち
0
『羊雲離散』『黄金記憶』を収める。昭和四十五年、五月七日。編集者として歌人として活躍を期待されながら交通事故により、小野茂樹は突然、この世からいなくなった。収録の『黄金記憶』は遺歌集である。もう定まってしまった見方だが、そうだとしてもやはり小野茂樹の短歌は相聞がすごくいい。また『黄金記憶』に書かれている平易な年譜から、読み取ろうと思えば、ドラマティックな男女の結びつきが立ち上がってくることは指摘しておきたい。【五線紙にのりさうだなと聞いてゐる遠い電話に弾むきみの声】【あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一
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- 和書
- ベルナのしっぽ 角川文庫