内容説明
「郡司さん、ベルナです。黒のラブラドール種、メス、一歳六カ月、大型犬です」…27歳で失明した著者は、子育てをするため、犬嫌いを克服して盲導犬とパートナーを組む決意をする。訓練所でのベルナとの出会いには、とまどいを隠せなかったが、タバコの火をおしつけられてもほえもせず逃げずにじっと我慢するベルナとの間に、やがて強く確かな絆が結ばれていく。しかし、家族の大事な一員となったベルナとも、やがて別れの時が…。人間と犬という境を越えて育まれた感動の愛の物語。
目次
1章 心を通わせて
2章 初めての町で
3章 赤ちゃん誕生
4章 みんな家族
5章 二人はきょうだい
6章 老いていく日々
7章 ベルナの“反乱”
8章 さようなら、ベルナ
著者等紹介
郡司ななえ[グンジナナエ]
新潟県高田市(現・上越市)生まれ。ベーチェット病により27歳で失明。現在、東京都江東区在住。「共に生きる社会とは何か?」というテーマで「盲導犬ベルナのお話の会」を主宰。全国の幼稚園、小中学校、地域団体等で550回を超える講演を行っている。日本盲人作家クラブ同人
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜長月🌙@読書会10周年
72
ベルナは27歳の時にベーチェット病で失明した著者の盲導犬です。ベルナが来るまでは白い杖を頼りに外出していたのですが、いずれは赤ちゃんと暮らすことを考えるとこれまでの限られた世界だけで暮らす訳にはいかず、しっかりとした目が必要と思われたのです。新しく目となったベルナはそれだけではなく新しい世界に彼女を導いたのです。献身的なベルナだけではなく時にはすねたり、ふくれたりするベルナがかわいいです。2021/02/13
も
56
27歳の時に失明した郡司ななえさん。犬嫌いのななえさんの元へ来た盲導犬は、黒のラブラドール、ベルナでした。ベルナとななえさんはふたりでひとり。どこへ行くのも一緒です。易しい表現で書かれていますが、ベルナとパートナーを組んだ当時はまだまだ盲導犬の認知度が低く、大変なご苦労をされたと思います。盲導犬として命をまっとうしたベルナ。最後は涙が溢れてどうしようもなかった。2015/09/22
zero1
51
盲導犬の世界を描いた全ページ泣ける本!強力推薦。27歳で失明した著者は、子どもをほしいと願うが夫も失明。そのため盲導犬を頼ることに。ベルナという大型犬が彼女のパートナーに。犬嫌いの彼女、苦闘が始まった!腹が立ったのが、ベルナにタバコの火を押し付けた男の話。悪魔の所業としか思えない!やがて子が生まれ、ベルナは姉に。10歳を過ぎ、老いたベルナは白内障で引退の危機。それでも盲導犬を知ってもらうための話を続ける。だが、更なる病魔が・・・最近では盲導犬を拒否する場は少ない。著者のような努力が各地で行われたからだ。2019/02/03
kinupon
50
必死に盲導犬としての道を歩み、役割を全うして死んでいったベルナ。家族との強いきずなのもとで良い犬生だったと思います。2019/12/26
クプクプ
45
面白かったです。エッセイです。犬嫌いの郡司ななえさんは黒のラブラドール種、メスのベルナという盲導犬を受け入れました。しかし、昭和56年の盲導犬に対する世間の理解は浅く風当たりは冷たかったです。出会った人にいちいち説明するのは私だったらイヤになってしまいます。しかし、郡司さんとベルナは徐々に地域で有名になり溶け込んでいきます。そして郡司さんに幹太という息子さんが生まれ幹太とベルナの友情が生まれます。郡司ななえさんが飼い主として、母として、奥さんとして女性心理を教えてくれたエッセイだと私は感じました。2019/04/02