内容説明
経済学最先端の地において第一線で活躍しつづけた経済学者が自らの半生を語る。3・11後の日本の復興/創造にも提言。
目次
第1部 米国経済学界の五〇年(サミュエルソン九〇歳の記念シンポジウム;共同研究とサミュエルソン捜索願い;Who’s Who in Economics:誰が選ばれているか ほか)
第2部 日米経済の五〇年(日米研の発足と日米財界のサミュエルソンとの交流;ケインジアンvs.マネタリスト論争の背景;日米摩擦解消と日米研の役割 ほか)
第3部 震災後の経済政策(復興から創造へ:東日本大震災を乗り越えて;日本のエネルギー政策と財政問題;震災後の政策を考える)
著者等紹介
佐藤隆三[サトウリュウゾウ]
ニューヨーク大学C.V.スター冠講座名誉教授。1931年秋田県湯沢市生まれ。1954年一橋大学経済学部卒業。1957年フルブライト大学院留学生として渡米、1962年ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒業(Ph.D.取得)。1969年経済学博士号取得(一橋大学)。Who’s Who in Economicsによる世界著名経済学者の一人。ブラウン大学経済学部教授(1965‐1985年)、ハーバード大学JFK行政大学院兼任教授(1983~2002年)、ニューヨーク大学C.V.スター財団冠講座経済学部教授および同大学日米経営・経済研究センター所長(1985~2005年)などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koji
2
初読当時感想を書いていなかったので、おさらいでサッと読んだ上で感想を残すことにしました(2017年1月)。佐藤隆三先生は、200年に一人の天才であるPサミュエルソンの教え子で、主要経済学者名士録第1版に選ばれた13名の日本人経済学者の一人です。本書はその自叙伝ですが、米国経済学に挑む奮闘ぶりを、鋭い観察録に巨人たちとのユーモアたっぷりの交友抄を交えて描き飽きることはありません。更に感じ入ったのは、3.11後の提言。震災、石油ショック等歴史的特異点が起きた時こそイノベーションが起きるというのは蓋し箴言です。2012/04/29
がっち
2
この学者の半生をみて、海外と日本の経済政策の話や、実際目にしたアメリカの経済学を考えさせられるものであった。エネルギー経済学から都市経済学そして医療経済学へ経済学の需要が移行してるという。これを考えると日本はやっぱり遅れているなぁと思わずにいられない。2012/02/03
いわたん
1
書店で見てなにげなく買ったが、実に面白かった。 学界での競争やステイタスについてはっきり書いている学者は少ないので、米国での具体的な挿話が興味深かった。論文によって評価され一流の大学にスカウトされたり、大学が子供の教育費や高級マンションを手配する等、まさにメジャーリーグのよう。後半の経済政策や原発への提言も納得。 気になるのは、著者が増税反対なのに対して国内在住の学者は賛成なこと。浜田宏一氏も海外で常識視されている金融政策が日銀には理解されないという。やはり日本の経済政策がずれているのだろうか。2011/11/25
うっしー
0
サミュエルソンがいかに神だったか良く分かった。2012/12/28
いわたん
0
アメリカの一流大学院への留学そのものが以前よりも大変難しくなってきているようだ。 アメリカといえども最先端と最底辺以外の中流は競争も激しくなく安定していたという記述があるが、それが危うくなってきたからこそのウォール街へのデモなのだろうな。大統領選挙はどうなるかな。2012/06/17