出版社内容情報
混迷を深める世界と向き合うための「リアリズム」の政治哲学
「彼は我々すべての父である」(ジョージ・ケナン)。国際政治学の黎明期にE.H.カーに影響を与え、ジョージ・ケナン、ハンス・モーゲンソーとともにリアリズムの先駆者とされるラインホールド・ニーバー。著者のマッケオンは、ニーバーの政治哲学を、戦争と国際政治の倫理から考察している。本書は、ニーバーが残した遺産のなかで近年最も論争されている主題を扱っている。それと同時に、民主国家が、力による現状変更にいかに対処すべきか、という極めて重要な問題を提起している。
【目次】
序 章 ラインホールド・ニーバーと政治的リアリズム
キリスト教的リアリズム
ニーバーの思想と著作
政治的リアリズム
ニーバーと政治理論
本書の目的
第一章 ニーバーの平和主義批判
ニーバーの平和主義
ニーバーの平和主義批判
ニーバーの分岐点としての平和主義の否定
第二章 力と秩序
人間本性(HUMAN NATURE)
人間共同体
ニーバーとアウグスティヌス
愛、正義、秩序と力
第三章 自由と制約
状況の力
小 結
第四章 道徳と国家:正戦
二つの区別
二つの区別の関連性
法律主義
正戦論の伝統
国家必然論
第五章 道徳と国家:ニーバー
ニーバーの二元論
ニーバーによる法律主義の否定と結果主義
ニーバーの悲劇的政治観
第六章 ニーバーの国際政治倫理学
ニーバーの政治倫理の目的
国 益
現実主義と完全主義
終 章 正戦へのプラグマティックなアプローチ
自由主義者ニーバー
保守主義者ニーバー
現実主義者ニーバー
正戦論の思想家ニーバー