内容説明
大正期の『讀賣新聞』「身の上相談」を分析。人びとは、結婚相手(配偶者)の選択にあたって、誰に配慮し、どのような条件をもとめていたのか。その葛藤の様相をあきらかにした配偶者選択の歴史社会学。
目次
序論 社会の変動にゆらぐ結婚観
第1章 伝統性/近代性というゆらぎを超えて(家族に関する研究;結婚観に関する研究;配偶者選択の歴史社会学に向けて―本書の課題)
第2章 『讀賣新聞』「身の上相談」の登場―結婚問題を共有する場の成立(問題を共有できる活字メディア;大正期『讀賣新聞』「身の上相談」の概要;「身の上相談」の読者と投稿者;「身の上相談」の関係者;「現実」を吟味改善しあう読者、投稿者、回答者)
第3章 結婚相手を誰がどう選ぶのか(友愛結婚の諸相;友愛結婚の方法)
第4章 結婚相手に求められる条件(人格にかかわる条件;純潔―人格・身体どちらにもかかわる条件;身体にかかわる条件)
結論 家と恋愛のゆらぎ、そして現代へ
著者等紹介
桑原桃音[クワバラモモネ]
龍谷大学大学院社会学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得後退学。博士(社会学)。龍谷大学社会学部非常勤講師、同実習助手を経て、流通科学大学商学部特任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HERO-TAKA
7
カバーは学ラン姿で手紙を書く若者とそれを大事に想う乙女。軽い読み物と思いきや、これは元は博士論文である。近代家族観・結婚観の研究の記録を記し作者の本書の意義を提示し、題材となる讀賣新聞の「身の上相談」の成り立ちにも深く触れる。その上で「身の上相談」の質問と回答、さらに読者の目を含めて分析し、近代の家族観・結婚観を明らかにしていく。膨大な資料と先駆者の記録をあたった論文部分は結構読むのが大変だったが、実際の質問と回答部分については特に楽しく読めた。2017/06/22
衛府蘭宮
1
カバーのイラストがかわいい博論本。讀賣新聞の「身の上相談」から大正期の結婚に関する諸問題をなんやかんや論じる。「○○時代の○○観」系は往々にしてインテリの書き物が俎上に上りがちだが、新聞投書は幅広い階層から出されており、それに対して編集側(インテリ)が答えるという双方向性もあるため、味が出る分析対象であろう。博論本と聞くと敬遠しそうな人は、第1章はざっと斜め読みしてから2章以降を読むといいんじゃないかしら(こんな勧め方したら怒られそう)2022/05/15