内容説明
政治結社「玄洋社」の右翼の総帥、法も踏み破る希代の豪傑―実際の頭山満は、そんなイメージとは程遠い、寡黙で礼儀正しく慈悲深い人物だったという。皇室を崇敬、伝統を重んじる一方、内外情勢を的確に分析するリアリストであり人格と行動で人々を導いた。幕末から昭和を生き抜いたサムライの実像に迫る人物伝。
目次
第1章 新しい旗印
第2章 玄洋社起つ
第3章 一人でも淋しくない
第4章 身を殺して仁を成す
第5章 アジア独立の礎
第6章 東洋平和のためならば
第7章 最後の戦い
第8章 不滅の頭山精神
著者等紹介
井川聡[イカワサトシ]
1959年生まれ。修猷館を経て西南学院大卒。1983年読売新聞西部本社入社、佐世保支局長、那覇支局長、社会部長、編集局次長兼経済部長、執行役員を経て2020年から読売広告西部代表取締役社長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Masakazu Fujino
12
明治34(1901)年、「冒険世界」という雑誌が「痛快男子十傑」の投票を募った時、頭山満は「現代豪傑」第一位に選ばれた。得票数は頭山満11,538、三浦梧楼8,731、乃木希典7,377、河野広中7,058、大隈重信6,643である。他の著名な政治家・軍人をしのいで一介の民間人がどうしてこんな人気を得たのか?また、インドの独立運動や中国の孫文を熱烈に支援しながらも、戦後は右翼と言うことで顧みられることがなかった。私の故郷北九州八幡には本書にも登場する巨大な忠孝の字が刻まれたはまぐり岩があり、子どもの頃から2023/03/09
SAKU
1
玄洋社という名とともに、右翼の親玉という印象が刷り込まれてる頭山満に迫った圧巻の大著。福岡から日本そしてアジアへとその活動スケールは大きく、孫文、ボースなど、アジアの革命家たちを助け、信頼関係を築いた。行きすぎた個人主義とともに西洋化していく日本を憂え、アジアの団結を唱え、その考えのもと行動をしてきた。選挙干渉など、すべての行動が良かったかは疑問符がつくが、国のためを思い、私心なく行動する様は、ラストサムライと言える。泉下の頭山は、当時より、個人主義が進み、西洋化が進んだ今の日本を見て何を思うだろうか。2023/04/30