内容説明
大義なき“派兵”の真実―「無名の師」(名分なき戦い)と批判された100年前の海外派兵秘史。9人の日本人・ロシア人男女を俎上にあげ、諜報活動に身を挺した者、革命家になった者、シベリア帰りの反戦将校、尼港虐殺事件で自決した外交官など、それぞれのシベリア出兵物語。大正期、日本軍海外派兵の苦い記憶。
目次
第1章 シベリアお菊
第2章 風雲児島田元太郎
第3章 諜報員石光真清
第4章 おらが総理田中義一
第5章 アタマン・セミヨノフ
第6章 社会主義中尉長山直厚
第7章 パルチザン佐藤三千夫
第8章 革命軍飛行士新保清
第9章 尼港副領事石田虎松
第10章 「無名の師」総決算
著者等紹介
土井全二郎[ドイゼンジロウ]
1935年生まれ。佐賀県出身。京都大学経済学部卒。日本海洋調査会代表。元朝日新聞編集委員。2016年、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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baron_yamaneko
2
日本船長協会の機関誌連載をまとめたもの。面白人物列伝。読んでいけばもうちょい通史的な理解もできるものかと期待したが、そうではなく。参考文献がわりと細かく示されてるのはよいが、1930年代のソ連文献に拠って日本やその他列強の意図を述べるのはどうなんだろう。なお書籍化に際して割愛された海賊江連力一郎(尼港事件の報復と言ってロシア船を襲撃した武道家)の話を読んでみたかった。2020/07/16
鹿之介
1
著者が元朝日新聞編集委員ということで、もっと左寄りかと思っていたがそうでもない。参考文献をちゃんと書いてあるので、それぞれの話にどれだけの信憑性があるか、このネット時代自分である程度判断出来る。9名の人物の評伝が各章になるスタイルなので、本書を全体的に見ると時系列が前後するとか、シベリア出兵について概略を知りたいという人にとってはかなり些末なことに紙面が割かれたりという点はあるが、それでも面白かった。2020/07/15